このレビューはネタバレを含みます
パリのエロ映画館で働くシモーヌ・バルベスの夜半から夜明けまでのお話。映画館もショーパブもシステムが分からん。オバサンかオカマかも分からない。
3部構成で最初はもしやこれだけで終わるのかとも思った映画館ロビー。リアル感ある働き方の2人。オッサンたちと制限されたカメラワークが楽しい。
次はレズビアン御用達のショーパブ。働いてる恋人との痴話喧嘩。ショーに時間たっぷりで楽しい。アマゾネス中断の描写が恐ろしく丁寧。会話も面白く、特にジャッキーおばちゃんがいい味。
最後に孤独なオッサンと夜明け前のドライブへ。オッサンのテンパってる表情が演技だとしてもそうでなくても素晴らしすぎました。そして電灯の消えるラストカットたるや、余りに相応しく美しい。
常に遊び心のあるカメラワークで、突然意味ありげに飛び込んでくるカットの構成が本当に素晴らしかったです。夜のいかにも不穏な暗さの表現も素晴らしい。セリフ含めた寓話性と臨場感が凄い。
一晩の出来事のなかに人々が素晴らしく生き生きと映し出され、その中に居なければ見えてこないような、生きたパリの一夜を見せてくれたような名作でした。