森見登美彦著作の同名小説が原作。
おおお!?
今気付いたけど監督の湯浅政明って「犬王」の!?
脚本は「サマータイムマシン・ブルース」の上田誠。
なるほど〜。
原作そのものが面白いのだろうけど、監督と脚本の良さで少し風変わりなアニメーション作品へと昇華されている。
大学の後輩である、"黒髪の乙女"に想いを寄せる"先輩"。そんな彼の想いなど露知らず、乙女は今宵も京都の街を風を切って歩いていく。
春の先斗町(ぽんとちょう)。
夏の古本市。
秋の学園祭。
そしてタチの悪い風邪が猛威を振るう冬が訪れ—— 。
一夜の出来事の筈が、くるくると移り変わっていく四季。時空が歪んだ京都の街に降り立ったような錯覚に目が眩む。一夜のうちに季節が巡るスピーディーな展開が、何せ心地良い。古風な台詞回しもテンポの良さに拍車がかかる。
脚本、ヨーロッパ企画の上田誠。
流石である。
いや今のご時世、脚本家を1番に褒めるのは良くないな。原作の台詞回しが良いのだろう。きっとそうだろう。
"黒髪の乙女"に密かに想いを寄せながら、外堀を埋めるばかりで一向に距離を縮められない、冴えない"先輩"。
思い切りが良く、明朗快活な乙女。彼女の魅力こそが本作の推進力であり、台風の目であり、観ている者を惹き寄せる。
作画も独特で、描き込む所は描き込み、抜く所はとことん抜く。アニメは描き込めば良いってもんじゃない。
鮮やかな色味、動きのあるカメラワーク。
アニメーションとしては、割と好き。
"先輩"の声を演じた星野源。
どうしても彼の顔がチラついてしまったのが残念。
俳優や歌手や芸能人等、何せ本業でない人間が声優をする場合は、その人である事がわからない程声色をきちんと作って欲しい。
そういう意味では"パンツ総番長"を演じたロバート・秋山竜次の声はわからなかったので、本作で声優として成功しているのは彼の方。