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夜は短し歩けよ乙女のjnkのレビュー・感想・評価

夜は短し歩けよ乙女(2017年製作の映画)
4.8
マインドゲームから13年、四畳半神話大系からも7年経ったわけで本当に楽しみにしていたけど期待を遥かに上回る湯浅政明ぶりに震えた。
ほぼ四畳半神話大系と同じスタッフで作られてるから映像化の土台はできていたのか狂った表現に余裕すら感じさせる。
小説を先に読んでいたからこれどうやって映像にするんだろうと思ってた場面も多いけど、アホらしすぎる詭弁踊り、イかれた酔っ払い描写、クウォリティの高い劇中劇、ジョニーの暴走ぶりなど楽しすぎるシーンの連続。
アニメは実写より「なんとなく」撮れないから間を持たせるのが難しいところ、全部のシーンに面白い事を入れないと気が済まない湯浅政明にしか作れない映画になってた。

今流行りのリアルなアニメからすると明らかに非日常的で突き抜けてるけど、四畳半神話大系もこの作品も、そんな意味不明でカオスな大冒険が日常へと回帰していくところに感動がある。
大筋の話は一人の男の片思いというシンプルなものなのに、なんでこんなことになってるのか完全に謎。
それでもこんなしょうもない人間をドラマチックに描くことに成功しているのだから胸を打たれる。

人の日々の生活が輝いているなんて使い古されたメッセージを誰も見たことない映像で表現したのも偉いし、ちょっとおかしな人々をかわいらしく見せて人はみんなどこか狂ってる事を伝えてるのも今の社会にとても重要なことだと思う。
乙女と共に歩き、先輩に振り回されることでただダラダラ日常を過ごすだけじゃなく行動する事の重要性や楽しさまで教えてくれる。
女の子がグダグダ過ごして萌えるアニメも大好きだけど、狂ったビジョンを示しつつ現実逃避に終わらないこの映画は本当に凄い。
男女が出会う話はよく「結婚式の馴れ初めムービー」と揶揄されるけど、自分の結婚式では是非こんな映像を使いたい。
アニメはやっぱり最高である。
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