140字プロレス鶴見辰吾ジラ

夜は短し歩けよ乙女の140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

夜は短し歩けよ乙女(2017年製作の映画)
4.3
”夢を見ていた・・・”

「モアナと伝説の海」
「SING」
「レゴバットマン・ザ・ムービー」
アニメというデフォルメ化によって生み出される、圧倒的な世界観が2017年も好調の様相である。

邦画も負けてはおれんだろう!!

「夜は短し歩けよ乙女」が貴様の脳髄に炸裂する!!

「君の名は。」で表現されたリアルを超える美麗な風景。
「この世界の片隅に」で表現された日常動作の緻密さ。
「聾の形」で表現された”アニメが演技する”クオリティ。

以上3つとは該当しないであろう「夜は短し歩けよ乙女」ワールド。

よりデフォルメ化し、より滑稽化する絵の応酬と、まさかのアニメで行われるミュージカルモードへの突入するハイパワー、ハイエモーションのドラッギー×ポップさが、つかみどころがないからこそ「理解しよう!」「真っ向勝負しよう!」という内なるエモーション、またの名を”内なるMAD”を刺激してくるのである。

冒頭の2次会、3次会の巡る巡る酒と情熱の世界観は、「ロックストック&トゥースモーキングバレルズ」よろしく登場キャラクターたちがパズルのピースのようにつながりをもっていて、かつ主人公とヒロインの狂言回し的な巡り巡る一夜限りの精神の冒険が、グイグイ進んでいくところを前のめりに見させるようにエネルギッシュ。酒をもって踏み入れる狂気に近い大人の階段、古本をもって示す自身の欲へのパッション、文化祭をもって放たれる偶然を運命に捻じ曲げようとする人間の欠如しながら美しい愚直さ、嵐の街や脳内会議による言葉の機銃掃射、絵で見せる破天荒さがガンガンと盛りに盛られて最終到達地点への期待と祈りを加速させる。

「MAD MAX 怒りのデスロード」のような神話ではないが、大人のジュブナイル的な神話性を付与された、神秘的な”一夜”という「夢を見ていた・・・」「夢を見せてもらった・・・」という愚かであって、偉大であろう”一夜”の大冒険と位置付けられるように感じる。

なんと偉大なるONE NIGHT STAND

ロバート秋山の声優スキルに驚きに驚いた。
「SING」のトレンディエンジェル斎藤
「レゴバットマン・ザ・ムービー」のこじまよしお
「プリキュア ドリームスターズ」の山里亮太
を遥かに凌ぐ、存在感・・・

アニメ絵でしゃべる山路和弘さんも良かったな~