東京国際映画祭学生応援団

クルエラの東京国際映画祭学生応援団のレビュー・感想・評価

クルエラ(2021年製作の映画)
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夢と魔法のディズニーですら止められなかった、「クルエラ」でいることを。

映画『101匹わんちゃん』の前日譚であり、人々を魅了する悪のカリスマ「クルエラ」の誕生を描く本作。

70年代ロンドンのパンクブームを背景に、復讐と闇堕ちを容赦なく詰め込む姿勢は、これまでのディズニーらしさを覆すようである。

イギリスの長い歴史とこれからの未来というものを重ね合わせるように、「エステラ期」と「クルエラ期」が交錯する演出も最高っ。

しっかりと独立した1本の映画でありながら、『101匹わんちゃん』を知ってこそ、本作の恐ろしさが何倍にも膨らむ作りにはディズニーファンとしても感激🥺

また、究極的な審美眼を持ち、The Future(未来)のシンボルとして存在する「クルエラ」を、70年代の名曲が彩るシーンはどれも鳥肌!

時代背景・舞台とどこかミスマッチに思える選曲も、彼女が時折見せる不安定さや、誰も知り得ない未来の怖さを醸し出すようで、どれもクセになるものばかり…。

エマ・ストーンが魅せる眼差しが、時に優しく、時に恐ろしく…その繊細な演技で「悪」に惹かれてしまう自分が悔しいほどである。笑

いい意味でディズニーがグレた、最高のエンターテイメント作品。

まだ『101匹わんちゃん』を観たことがない人は、ぜひ1回観てから劇場へ…。

「女性の社会進出」でも「自己実現」でも「社会環境の改善」でもなく、「クルエラ」を観に。

《鑑賞者: ひろ》