櫻子の勝手にシネマ

クルエラの櫻子の勝手にシネマのレビュー・感想・評価

クルエラ(2021年製作の映画)
3.5
アニメ『101匹わんちゃん』(1961年)に登場する、クルエラ・ド・ヴィル。
白と黒のセンターパートが特徴的なクルエラは、ディズニー作品の中でもファッションセンス抜群の悪女として人気の高いキャラだ。

『101匹わんちゃん』では、ダルメシアンで毛皮を作ろうとした冷酷非道なキャラだったが、そんな彼女にも夢を追いかける純粋な時期があった。
元は純粋な夢見る少女だったクルエラが、何故恐ろしい悪女に変貌したのか?
その秘密をコメディタッチで描く本作。

余談だが、私は子供の頃からクルエラとマレフィセントが大好きだった。
特にクルエラの大ファンで、1996年に公開された『101』でグレン・クローズが演じたクルエラが好きで何度も繰り返し観ていた記憶がある。

本作では若き日のクルエラ(エステラ)をエマ・ストーンが演じている。
監督はクレイグ・ガレスピー。

エマ・ストーン主演でディズニーヴィランを実写化ということでDC映画『ジョーカー』(2019)みたいな感じになるのか?と勝手に期待していたのだが、ちょっと微妙だった。

というのも、クルエラの世界観とハードロックが全くマッチしていない。
はっきり言ってダサい。
クイーンやレッド・ツェッペリン、ローリング・ストーンズなど70年代の名曲をアレンジして使用しているのだが、白と黒のゴシックビジュアルのクルエラがハードロックの曲に全くマッチしない。
ついでにダルメシアンもハードロックって感じじゃないし。
モーションレス・イン・ホワイトやブラック・ベイル・ブライズ、アスキング・アレクサンドリア…
マリリン・マンソンやスリップノットくらいならまだ許せるかな(笑)
無難にクラシックやオーケストラでも合うと思うけど。

宣伝では「パンクロックエンターテイメント!」と謳っていたにもかかわらず、劇中の楽曲はハードロック寄りのアレンジが多かったのも気になった。
また、クルエラのキャラクターもパンクではない。
クルエラは事前に綿密に計画を立てるし、意外としたたかなタイプ。
行動や思想も全然パンクとは異なる。
個人的には、パンクロック映画と言ったら『トレインスポッティング』をイメージするが。

本作のクルエラは、彼女のトレードマークでもあるタバコを吸っていなかったし、毛皮も着ていなかった。
憎いはずのダルメシアンも結局殺さなかったし。
パンクキャラのはずが良識ある普通の人間に見えるのは私だけ?(笑)

ストーリーも白黒はっきりしない感じだったが、これはこれで面白かった。
「ヴィラン誕生ストーリー」の謳い文句だったが、むしろ本作のヴィランは普通にバロネス(エマ・トンプソン)で、クルエラはファッションリーダーという印象。

エマ・ストーンのファッションを楽しむ映画として観るならアリ…かな。