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太陽の雫ののんchanのレビュー・感想・評価

太陽の雫(1999年製作の映画)
3.7
イシュトヴァーン・サボー監督は最近『エメランスの扉』を観て気に入り、『華麗なる恋の舞台で』も良かったのでもう1本。

こちらはハンガリーの歴史映画で、ユダヤ人一族の3世代の100年に渡る壮大なる大河ロマンドラマ。

監督の熱の入れようが伝わって来る180分。日本人には解り難い東欧の近代史が良く理解る構成になっていた。


ハンガリー帝国(オーストリア=ハンガリー二重君主国)時代、薬草酒「サンシャイン」を発明し、村でも人望が厚かったゾネンシャイン一族。

その3世代をレイフ・ファインズが3役して奮闘しています。
性格も生き方も違う人物を熱演。ファンなら必見ですし、そうじゃなくても演技派なので集中して観続けられます。

先祖代々薬草酒を作っていたが、イグナツ(ファインズ)は法律家として成功し判事となる。
従姉妹のヴァレリー(ジェニファー・イーリー)と熱愛で結婚し2人の息子を持つ。
生きやすくする為、ユダヤの姓を捨てショルシュと改名する。

イグナツの次男アダム(ファインズ)は、1936年のオリンピックにフェンシングで出場し金メダリストとなる。
婚約者のいるハンナ(モリー・パーカー)をくどいて結婚。しかし、兄(マーク・ストロング)の妻グレタ(レイチェル・ワイズ)から猛烈に迫られ、兄思いのアダムは悩みながらも、グレタと秘めた燃える愛が続いた。
しかしユダヤ人迫害により収容所で殺害されてしまう。

アダムの息子イヴァン(ファインズ)は警察官。共産党の幹部、後に民主運動へ。
上司の妻キャロル(デボラ・カーラ・アンガー)から迫られ不倫。
世の中はハンガリー動乱を挟み社会主義政権期、停滞期。スターリン影響下の時代に。

生まれ持った個性を犠牲にしたゾネンシャイン3世代。変化する社会、家庭、精神世界を描いている。
ラストにイヴァンは姓をゾネンシャインへまた戻し、ようやく新たな一歩を踏み出す。


しかし、共通するのは時代が変わっても恋愛体質家系としか思えない、どのファインズも禁断の愛に身を投じます。
どの時代も愛情にかけては女が強い。求められるままファインズは愛に翻弄されています。

ヴァレリーの若い時がジェニファー・イーリーで、晩年には実母であるローズマリー・ハリスに変わるので全く違和感がなく、あまりにそっくりに老いるので、ちょっとマジックを掛けられた感じ。

レイフ・ファインズの魅力がたっぷりです。イケメンでした。

イヴァンの時代にウィリアム・ハートが出てきて思いがけずに嬉しかった。
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