アメリカに強制連行されたアフリカ人たちが、不当に人権を奪われてしまい、家畜同然に売られていく。18世紀における奴隷制時代の現場を、あたかも「その場で撮影している」ように描写している、ヤコペッティ渾身の一作。
船内にすし詰め状態で移送されてきた黒人たちが、一斉に消毒されて、品定めされて、商品として売買される。レイシストの言動を「滑稽なもの」として捉えており、黒人が白人を脅かす存在になるまでの因果応報を、滑稽譚のように描写している。
何よりも、数百人の黒人エキストラ(小さな子どもたちまでも!)を総動員して、当時の現場を徹底的に再現しているところがスゴイ。「どのようにして統率しながら撮ったんだろう?」と思わせられる映像が連発する。
本作を観ると「人間が人間を人間扱いしないこと」に究極のグロテスクがあることを痛感させられる。「加害者は過去を忘れるけれど、被害者は永遠に忘れない」を示唆させるラストも印象に残る。ファズギターの爆音と憤怒を重ね合わせる演出がクール。