ゆかちん

犬ヶ島のゆかちんのレビュー・感想・評価

犬ヶ島(2018年製作の映画)
2.8
ウェス・アンダーソンが思う日本をストップモーションアニメで再現した作品。

ぶっ飛び感のある日本。
でも、設定が架空の未来ってのと、ストップモーションアニメってことで、よくあるトンデモ日本に見えなかったてのは良かった。
あと、日本とは違うんだけど、細かい日本的な描写とか、ちゃんと作り手なりに調べた上でって感じなのかな〜と思えたから変な違和感がなかったのが良かった。

でも、なんで日本の俳優とかは声優するの下手くそなんやろね。日本語を話すキャラクター、あれ素人かな?とか、日本語やのに何言ってるかわかりません…てのが多かった。プロの声優さん使ってほしかったかも。
そして、アタリくんは日本語母語の人にしてほしかったなぁ。




舞台は20年後の日本、架空都市ウニ県メガ崎市。小林市長は、大流行する“ドッグ病”対策としてすべての犬をゴミの島“犬ヶ島”に隔離する。12歳の少年・小林アタリは、愛犬スポッツを探すためたったひとりで犬ヶ島に降り立った。そこで出会ったチーフ、レックス、キング、ボス、デュークという勇敢で心優しい5匹の犬たちと、スポッツを探す旅に出る。



犬たち可愛かった!!
人間はちょっと気持ち悪い…笑。
歯が細かすぎるよ…。


ウェスは、50年代から60年代の日本映画に強いインスピレーションを受けて、影響受けた人として黒澤明監督と鈴木清順監督の名前を挙げていたそう。
私もその辺の作品を知ってたら、もっと感じられたのだろうか。
あと、紅の豚からも影響受けてるらしい。


犬と人間って、不思議な関係だね。
主従関係かつ友情かつ家族。
裏切られてもなお主人を見つけなきゃという犬がいて健気すぎる…てなった。

なんとなく寓話みたいなところも感じた。

例えば、渡辺教授が犬インフルエンザへの特効薬を考えたにもかかわらず、権力者に握りつぶされてしまうという利害関係の構図とか。今の社会で同様のことが起こっているやろなぁとか。
不正選挙を示唆する描写なんかもロシアやベラルーシとかで普通に起きてるし。
他にも、犬は病気で危険だみたいな情報操作・印象操作で人々に不安を煽り煽動していくことや、貧困問題、核爆弾、ハンセン病患者の狂気的な隔離や、ホロコースト、民主的に選ばれた独裁者などなど。
人間がこれまでに引き起こしてきた数々の黒い歴史を、現実社会で起きていることを写し出しているなぁと。
あと、荒廃したところを日本は地震や津波で〜みたいな説明あったのも、妙にリアルに感じてしまった。

でも、あくまで犬と少年の友情と革命物語がユーモアとファンタジーの世界で語られているという。

少年アタリとスポッツが、2人だけの専用シーバーで呟きあって理解し合えた時に涙したのが良かったなぁ。
全く違う種族や文化であったとしても通じ合えるという描写なのか。
言葉というものの大事さも感じた。

ブライアン・クランストン、エドワード・ノートン、リーブ・シュレイバー、ビル・マーレイ、ボブ・バラバン、ジェフ・ゴールドブラム、スカーレット・ヨハンソンと、豪華な声。

エドワード・ノートンの声て高くてハキハキしてるから結構馴染んでた。なんでも多数決取ろうとするのも面白かった笑。
スカヨハ、犬の声もセクシー。少し悲しげなのも良かった。でも、芸を披露するときにボールは想像してとかいうやつ面白かった笑。
小林市長、最後はいいやつで良かった。
兄弟の子ということで養父なのだけど、ちゃんと愛情があるんだね。
今回も犬含めて家族の物語でもありましたね。

ウェス色JAPAN。
やっぱりシンメトリー。
なかなか興味深かった。
ゆかちん

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