ひれんじゃく

犬ヶ島のひれんじゃくのレビュー・感想・評価

犬ヶ島(2018年製作の映画)
3.6
さてさて、今回はどんなトンチキ日本が見られるかな?と思ってたら普通にしっかり作られたものが出てきてびっくりした。犬に毒ワサビを盛ろうとすなとは思ったものの。設定もそうだしレトロポップな独特の雰囲気と独特の物語と独特の展開に見入ってしまった。犬派と猫派の対立と還元して仕舞えばそれまでですが…………

小林市長のモノクロのポスターとかビックブラザー党っぽさあったし他にも西部劇要素とかコミックみたいな表現とか色々なものが判断に盛り込まれてて見ていて飽きなかった。ただこれは私がウェスアンダーソンと波長が合わないだけなんだけど、何をテーマとしたかったのか(ストーリーに仮託して何を言いたかったのか、ストーリーとして分かりやすい方ではない裏テーマはなにか)みたいなことがわからず終わる。多分犬ラブ!犬万歳!だけじゃないとは思うんだけど…………………でももしかするとテーマ性が一切ないというそれ自体で主張をしてるのかもしれないな、とグランド・ブダペスト・ホテルを見た時にも感じた。「これはガチのフィクションなんで、現実世界の特定の何かを意識してそれに対して主張をしようとか一切考えてませんので🖐️そういうのをウチの作品に求めるのはやめてね」みたいな。私が読み取れてない説も普通にあるけども。個人的な話だけどちょくちょく出てくる日本語が微妙に聞き取りづらくてストレスだったかな……特にアタリ君はキーパーソンなのでできたら日本人に演じてほしかった。でも声優陣が相変わらず豪華ですごい。エドワード・ノートンの声帯を持ったよく喋る犬がすき。「児童虐待だ」に声出して笑った。名前がわからなくて申し訳ない。画面中に出てくる街中の表示とかにもトンチキ日本語があんまりなくて嬉しかった。というかジェフ・ゴールドブラムとビル・マーレイと夏木マリはどこにいたんですか????声だけで見分けるのは流石に無謀だった。ティルダ・スウィントンがオラクルだったの????全然気づかなかった……………

監督は南総里見八犬伝とか忠犬ハチ公とか三峯神社(あれは犬というより狼だけど…)とか、日本に残る独特の犬の物語に惹かれて本作を作ったのかなと思うなど。でも世界にもきっと犬の話はあるよね。
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