チーズ

犬ヶ島のチーズのネタバレレビュー・内容・結末

犬ヶ島(2018年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

犬病の蔓延により、犬と人とが共に生きることができなくなってしまった日本。法案の可決により、ウイルスの拡大を防ぐため飼い犬もノラ犬もゴミ島という島に送られていく。

法の執行から六ヶ月。
犬たちは、島で飢えや病気に苦しむ生活を送っていた。そこにある日、愛犬スポッツを救うためアタリという一人の少年がやってくる。少年と犬たちは協力してスポッツを探す旅に出る。

一方その頃ウニ県では、更なるウイルス拡大防止のため、ゴミ島を犬たちごと消し飛ばす計画が実行に移されようとしていた。アタリ少年の勇気ある行動に心を打たれた犬追放反対派の留学生は行動を起こし、犬たちの病状を完全に回復する強力な血清を研究員らから入手することに成功。市長の演説に乗り込み、無事血清の有用性を市民たちに示すことができた。こうして、留学生、アタリたちの活躍によって犬たちの抹殺計画は防がれることになる。日本は再び、犬と人とが共に暮らす社会へと戻っていくのだった。

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アタリ少年の素朴な話し方が、ストップモーションのぎこちなく柔らかい独特な動きとマッチしており、面白かった。優しくて繊細な演じ方が魅力だった。

舞台設定が、「20xx年〜」とかではなく「今から20年後〜」という表記の仕方で、この形式は個人的に初めて見たけれど、こういった時間設定の示し方であれば、永遠に私たちの時代が映画の設定に追いつくことがないので、確かにそういうのもアリだし、素敵だなと思った。必ず、鑑賞者がこの映画を見た時代から、20年先、ということになっているので、フィクションなのにどこか他人事では無くなるような時代設定の仕方が良いと思う。

舞台も、日本列島ではあるけれど、ウニ県メガ崎市という架空の土地をメインに登場人物たちが行動していて、ちょっと古めかしい和の雰囲気や、昭和を感じさせる小道具や建築物、これぞ日本の味!というようなたくさんの仕掛けで世界観が構築されていて、見ていてとても視覚的に飽きが無く、まるで和風のテーマパークに遊びに来ているようでとても楽しかった。

まだ思春期である、そして現代に生きる子供達が行動を起こすことにより、古い時代から積み重ねられ不動だった大人の大きな権力・流れというものをひっくり返すことも可能である、という一つの希望を見せてくれたようにも感じた。アタリ少年が市長になってくれて、良かった。
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