あーさん

犬ヶ島のあーさんのレビュー・感想・評価

犬ヶ島(2018年製作の映画)
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ウェス・アンダーソンの作品は、"ダージリン急行"と"ホテル・シュヴァリエ"で、すっかり好きになってしまった♪

監督の病的なまでに凝り性な所がお気に入りで、今作も公開を楽しみにしていたのだけれど、、絵柄がそんなに好みでなかったこと、和物な感じがストーリーに馴染んでいるのか?違和感はないか?
そこが少々心配だったのもあり、実は相当気になりながらも劇場鑑賞を悩んでいる間に見逃してしまっていた。

いやーー、ものすごい作品だった!
好きとか嫌いとか、そういう次元を超えてきた!只々、すごい!!
ひとことで言うなら、ファンタジーの中に散りばめられたリアリティ。
できることなら、劇場で体感したかった。

今作の特徴は、①ストップモーションアニメーション(コマ撮り)の細部へのこだわり、②黒澤映画へのリスペクト、③豪華な声のキャストであり、その素養があった方が絶対に楽しめる。

私は②の素養が足りなかった為に、2回観てそれなりに面白かったのだけれど、腑に落ちるというか、"サイコー!"と思える境地まで至らなかったのが、残念。。
(きっと小さな画面で観たのも間違い!)

でも、それは監督の責任ではなく、観る側の問題。そう、何となくフラッと観て楽しめる作品とはひと味違うのだ(もちろん、万人ウケする娯楽作も私は好きだけれど♪)。観た後で、これは実はこうなっていた、とかエピソードを辿るのが楽しい。
だから、そういう単純明快な面白さを今作に求めるのは間違っているし、そこを無視するとミスマッチの原因にもなる。
それ故に観る者を選ぶ、ということなのかな。

リスペクトの意味を改めて考えさせられる。
盲信とリスペクトは違う。
ウェス監督から見た日本は、少々デフォルメされているけれど、決して不快な印象を与えるものではなかった。
皮肉も含めてむしろ面白いし、ごった煮みたいになってる中に、時々キラッとセンスを感じる。
納得するまで粘る性格は、黒澤明監督にも通じるものがある。

あと、音楽の使い方も印象的で良かった♪
(和太鼓とか口笛とかそういうのも含め)

これはきっとスルメ映画だから、観るたびに発見があり、何度観ても良い。


ウェス監督が、日本への敬意を込めて作った作品。

もっとリテラシーを上げて、楽しめる自分になってから観直そう、、そう思えた作品だった。

"何だかんだ理由をつけて黒澤作品を避けるな!"とウェス監督からお叱りを受けたような気がする。
"日本にこれだけすごい監督がいるのに、何で観ないの?"ってね。
そうだよね、、長いとか言ってないで観なきゃね!!

とりあえず、夏休みの課題で何作か観よう。。

→七人の侍、酔どれ天使、どですかでんは
観ておいた方がよさそう。


細かいことは書き始めるとキリがなく、見所しかないので、、
敢えて書かないレビューになりました。



それにしても、野村訓市氏の今作への貢献度がスゴすぎる。。
(ソフィア・コッポラの"ロスト・イン・トランスレーション"も観たくなった!)


2019.9 七人の侍
〃 酔どれ天使
〃 どですかでん(予定)
やはりこちらの黒澤作品を観てからでは、感じ方が全然違う。再鑑賞したいと思う。
あーさん

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