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デ・パルマのかずシネマのレビュー・感想・評価

デ・パルマ(2015年製作の映画)
3.6
「知らないうちに私はイケてる監督になっていた」
ンフフとなる。
父ちゃんの浮気現場に踏み込んだ話までするなんて、なんてあけすけなんだw

デ・パルマは素直な方なのだな、と思った。
周囲へ批判的な事も言うし、時に自虐混じりに自身の反省点も言う、そして様々な軋轢によって思う様にいかなかった事や理不尽だった事も言う。
敬意を持って人を称え、影響を受けた何かについても隠さない。
「売れたい」が先行して撮った事や妥協した事も隠さない。
嬉しかった事も嬉しそうに言う。
だけど自分の確固たる自信も言う。
何かこう、ただ老成したとか、ただ角がとれて丸くなったとか、そう形容する時の印象とも少し違うんよな。
とにかく、言っている内容のバランスが無理なくちょうど良いと思う。

この手の作品はスコアをつけるのが難しい…と思ってしまう質なんだが、こちらは普通に面白かった。
只々デ・パルマが喋ってるだけなんだが。
第三者を挟まず、本人が本人の事や作品作りのあれこれについて語っているから面白いのか。
作品内には登場しないが聞き手の質問の仕方が上手いのかもな。
映像を挿入するタイミングも良いのかも。
貴重な映像もあって。そちらは観てるだけでも何かわくわくした。
そして観ていない作品が沢山あって、観たくなった。
…というか、1つ1つの作品について、よくあれだけ詳細に覚えているよな。結構沢山の作品やエピソードが出てきたのに。
「この現場はどんなだったかなぁ、覚えてないなぁ」なんてなってないもんな。
日記とかを逐一つけてるのかな。
それとも、それだけどれも印象的な現場だったという事なのか。

些細な事からアイディアを得るというのも多いのだな、と。
勉強熱心だし、そしてよく人に相談するのだな、と。
やっぱその辺が大事やなぁ。。
勉強になります。

「アメリカ的ギャングが必要だった」からのアル・カポネなデニーロの顔アップは好き過ぎて吹く。

印象的だった言葉達。
「監督のキャリアは決して計画して作るものじゃない、作品との出会いは巡り合わせでいろんな事が起こる、できる事をやるしかない」
「この歳になって思うのは、監督業の最盛期は30〜50歳の間だということ」
「映画には自分の犯した過ちが残る、解決できなかったことや手抜きしたことが永久的に、映画は自分のミスを記録するのと同じ」
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