片山幹生

バッカス・レディの片山幹生のレビュー・感想・評価

バッカス・レディ(2016年製作の映画)
4.2
67才で街頭に立つ老人相手の娼婦、ソヨンの物語。
悲痛な老娼婦の生き様を淡々と提示するなかで、韓国の戦後史のなかで置き去りにされた人たちの悲痛な状況を浮彫にする。
海外養子、シングルマザー、米軍基地、老人たちの孤独など。
残酷で理不尽な現実の数々をソヨンをはじめとする社会の周縁に生きる弱い人たちは、抵抗することなく、諦念とともにただ受入れ、やり過ごすしかない。
彼らにできることは、弱い者どおしで身を寄せ合って、疑似家族というシェルターを作ることだ。しかしそのシェルターもつかの間のものでしかない。