爆裂BOX

ダウンヘルの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ダウンヘル(2016年製作の映画)
3.2
チリ産の色んな要素詰め込んだごった煮ホラー。
BMXのレースに出るためチリを訪れたアメリカ人カップルが、地元のヤバそうな男達に銃撃され追い掛け回されるという人間狩り物がベースになっていますが、そこに「キャビン・フィーバー」みたいなヤバい感染症に罹った血塗れの男投入して、更に男の腹から触手がビョロビョロ突き出して来たりとカオスな事になっていきます。
レースで親友を亡くした過去を引きずる主人公カップルがそのトラウマを乗り越えるべくレースに参加する為チリを訪れてパーティに参加してバカ騒ぎたりする前フリの序盤は退屈ですが、コースの下見の最中に事故った車と血まみれの運転手の男を発見して友人達を呼んで助けようとしたところを銃撃の雨霰に曝される所から異常なテンションと緊迫感で突っ走り始めます。
とにかく訳が分からないまま銃撃に遭い友人を次々殺されながら山中を逃げ回り、一緒に連れて逃げてる男は血反吐吐いて顔に疱瘡出来て皮膚の下を何か蠢いてたり、血を吐きかけられた主人公も感染して体調悪化し始めたりと最悪の一途をたどっていく状況がたまりませんね。ただ、腹から出てきた触手が思ったよりも活躍しないというか人襲ったりしないのは物足りなかったな。
ゴア描写は強烈な物はないですが、感染症に罹った男や主人公の顔にできる疱瘡等は汚らしさ出てていい感じでした。
終盤では主人公達が捕まって怪しげな儀式に参加させられたり、全裸の白目ババアが出て来たり「マタンゴ」みたいなボコボコの顔になった主人公の腹から触手出て来たりと更に訳わからないことになって、結局男や主人公が感染した感染症が何だったのかやひたすらおってきた集団が何者だったのか、触手や全裸婆さんなどの謎や伏線に一切答えず投げっぱなしのまま終わりますが、終盤の邪教の儀式などはラブクラフトの世界観っぽさを感じましたね。
色んな要素ごった煮にして謎や伏線らしきものまき散らして一切答えず終わるので、話に整合性求める人や伏線未消化のまま終わるのが嫌いな人には地雷作品だと思いますが、武装集団の襲撃から始まる異常なテンションや緊迫感やごった煮感など怪作と呼ぶにふさわしい作品だと思います。