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奴隷の島、消えた人々の消費者のネタバレレビュー・内容・結末

奴隷の島、消えた人々(2015年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

実話ベースで取材の過程が物語の本筋となっているので先日観た「知らない女」と被る部分があったが本作も同様に韓国らしいジメッとした重苦しく暗い世界観でそこは楽しめた
一方で田舎特有の閉塞感と力関係、陰惨な空気などはもっと鮮明で生々しく描く事も出来たのではないかと思う

またファウンドフッテージやPOVを思わせる様な撮られ方は個人的に好きなので問題ないがもっとそれを活かしてヒリヒリした印象を強調出来たんじゃないかという点では惜しい

作品の主題は孤島の塩田で行われる無賃金で暴力も日常茶飯事の奴隷労働を取材していく、という物語なのであくまで事実の露呈を恐れた塩田の所有者一家の蛮行を生々しく描いていくのかと思いきや終盤に記者ヘリが助けようとしていた知的障害を持つ様に見えたサンホが実は連続殺人犯のキム・ミョンチョルであり彼が島を離れたがらなかったのは身を隠し続ける為だったというどんでん返しを迎える
正直言うと実際の事件ではそうした事は無かった様だしこの展開は蛇足だった様にも思えなくもない

最終的に殺人事件にまで発展する事で善意の記者で純然たる被害者であるヘリが唯一の生存者である事からメディアやネット上の憶測で真犯人なのではないかと疑われるのだがそれがラストに出て来るバーナード・ショーの名言に繋がる展開は事の本質をブレさせてるんじゃないかと感じた
結局、何が言いたかったのかの筋が通っていないというか…

島の権力者である塩田の所有者一家と本土の警察の癒着はまぁありそうだよな、と感じたがその不正の闇もPOVに近い手法で記者とカメラマンが主体な作品である事で実際の労働者達の受ける扱いが描かれていない事からややその胸糞さが薄く感じられてしまう

実話ベースの事件物は事を風化させない為にもどんどん撮った方が良いと思っているしそういう意味では評価出来るし映画全体に流れる不穏な空気も良かっただけにもう少し上手く作れたんじゃないかなという感想
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