ふじこ

奴隷の島、消えた人々のふじこのネタバレレビュー・内容・結末

奴隷の島、消えた人々(2015年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

日本で言うところの、"岡田更生館事件(生活困難者への監禁・暴力・殺人:給付金詐欺)"とか"札幌育成園事件(障害者への賃金・年金未払い)"みたいな感じかな?と思ってまず元となったらしい"新安田園奴隷労働事件"を調べてみた。
知的障害者へ食事も出るし住み込みで働いてほしいと雇用があるとして、実際は斡旋業者が離島の塩田へ障害者を売りさばき、売られた先では100人以上が賃金など出ず僅かな睡眠時間と粗末な食事で働かされ続け、地元の人間や警察とも癒着して囲い続けた2014年に発覚した事件だそう。
2014年て。そんな最近まで奴隷業が離島を良いことに好き放題されていたとは大変驚く。

で、視聴したのだけれど。
いや~、これ、インスパイアされた映画だそうだけれども全体の8割くらいはそのままだし、逆にちょっと捻っちゃお!ってしたかつての殺人事件の容疑者が知的障害者を装って隠れ紛れていたって部分が薄いし分かり辛いし、元々の事件で充分恐ろしいから余計な事しちゃったな~って。
結局、田園の持ち主は殺されちゃったし、殺人犯は逃げ延びているようだし、唯一生き残った主人公の記者が事件から5ヶ月経ってやっと殺し回ったのが隠れ住んでいた殺人犯であると警察に訴えにいく辺りで終わっちゃう。
前半をもっとこうギュッとしてやっと面白くなる後半部分をフィーチャーした方が良かったんじゃないかなぁ…。
人身売買、奴隷労働だ!って発覚するまでが特に面白みを感じられないし、殺人の逃亡犯だとして離島へ逃げるのは分かるけれど、こんな隠れ方する必要ある…?って。賃金も貰えないし暴力も振るわれるのに。う~ん。
惜しい。
訳も分からず売られて来てしまって、家族とも連絡が取れないまま"消えた人々"として奴隷労働に従事させられていた事こそが怖いのであって、謎の殺人犯に物理的な意味で"消された人々"じゃあなんだか恐ろしさの視点が違っちゃうんじゃないかなぁって。
いやぁホント、殺されちゃった良い笑顔のオジサン可哀想だったなぁ…カメラマンの人も。
ふじこ

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