MikiMickle

ダークレインのMikiMickleのレビュー・感想・評価

ダークレイン(2015年製作の映画)
3.3
予告の謳い文句は“雨に潜む何かが、世界を滅ぼす”

時は1968年10月 午前0時37分
メキシコシティから5時間離れたバスターミナル

豪雨のために何時間もバスがこない。
妻の出産に立ち会いたい男ウリセス。妻の様態は芳しくない。
DV夫から暴力を受けていたイレーヌは、夫を殴ったために命を狙われている。

ラジオからは、トラテロルコの学生運動と、世界各地が未曾有の大雨にさらされていると流れる。
が、突如として券売係りのマルティンとクセの強い職員の女性も泡を吹いて倒れてしまう。

話の通じないシャーマンのおばあさんが何故かわめきたてる中、
タクシーに乗ってきたという反政府の学生と、病気の子供とその母が加わり、閉じ込められたストレスで苛立つ8人。
彼らを待っていたものは? 一体何が起こるのか?‼

閉鎖されたシチュエーション、セピアがかったフィルムのような画面で怪しげな雰囲気。
古典的なホラーやサスペンスのような音楽もまた気分を高める。
状況を説明してくれるナレーションの声もまた、往年のサスペンス映画をみているような気分にさせられる。



が、なんじゃこりゃ?‼
開始30分で、涙を流して笑えるような展開へと‼‼ 笑いすぎてお腹いたい。 ビジュアルの面白さの迫力と衝撃が半端ない‼
もう一度言うけど、なんじゃこりゃ😂

その、しっとりじっとりとした古典的狂気的な雰囲気の中、笑うしかないビジュアル。
ストーリー的にはホラーともSFとも言える怒涛の展開になっていく‼‼

そして、メッセージ性も。
人間の個性というものはなんなのか。
「蟻はその違いを分別出来るが、人間から見たらアリの顔は全部同じに見える」
というセリフがでてくる。大きな視点で見ると、人間なんてものはひとつの点以下のものに過ぎない。
それを認識した時に初めて個性を確認するのかもしれない。

これは不条理とカオスの混沌の映画だ。

この映画の舞台となる1960年代といえば、長らく続く冷戦、ベトナム戦争、キューバ危機、世界各地の人民運動、マルコムXやキング牧師の暗殺、酸性雨問題など、様々なものが常に人びとの不安となってまとわりついていた時代。それは大きな流れを生んだが、その一方で、ある思想の元、なんとなく流されていた時代だったのかもしれない。
前述したトラテロルコ事件も実際にあった事で、多数の学生が犠牲になった悲しい事件だが、これもまた同じだろう。警察も政府もそうで、何かしらの風潮や流れに向けて物事を進めていく。
やはり、大きな目線でみたら、人は全て同じ。うまく言えないけれど、そういったものを感じた映画だった。
で、これは勝手な深読みなので、間違っているかもだと思いますw

とにかく、とんでもない映画だった(笑)‼私の知能ではもう一度見なきゃ、その真意はわからない。が、単純に、コメディとして見たら大爆笑の一品ですし、不条理感も秀逸だと思います。
これ、脚本考えている時、めちゃくちゃ楽しかっただろうなぁそれがビジュアル化されて更に楽しかっただろうなぁ……とてもじゃないけど、私にはこんな発想は浮かばない。先なんか全然読めない。変な映画だった。予告もジャケも謳い文句も、ミスリード狙いみたいな感じかも(笑) あえて、詐欺と言わずにミスリードって言っておく♪ そして、変な映画は、ホラー映画と同じく、癒し❤
MikiMickle

MikiMickle