さすがナディーン監督。水と油のようなシチュエーションを、全く違和感なく一つの作品に詰め込み、明確にテーマを打ち出している手腕には敬服する。
息子の死を悲しむ母親の張り裂けるようなシーンと、ダンサーを呼んでバカ騒ぎをするシーンがきちんとつながっていることだけでも信じられないのだが、女たちが平和のために影で暗躍するコメディタッチのシークエンスでワクワクさせるなど素晴らしい。
ただ、今作でのテーマを考えれば言うことは無いのだが、その対立が生まれた根本である宗教についての洞察が無いのが個人的に残念なところ。
ミュージカル風の演出やロマンス色をにおわせておいて、途中から全く無視する潔さもギャグの一つとして成立している。
ナディーン監督作はまだ今作と名作である「存在のない子供たち」しか観たことが無いが、今後も楽しみな監督と言えるだろう。
余談。
宗教に対する洞察はないものの、そのバカらしさをラストで見事におちょくっているのはスカッとする場面。
妻や母親たちが改宗してしまうのも良いアイディアだが、葬儀屋の「どっちに行くの?」は皮肉として最高だな。笑