ダイヤモンド

夜明けの祈りのダイヤモンドのレビュー・感想・評価

夜明けの祈り(2016年製作の映画)
3.0
1945年ポーランド。田舎の修道院で起きた、目を疑いたくなるような事件。ロシア兵が修道女たちを凌辱し、7人が妊娠するという。妊婦と胎児の生命を救おうと孤軍奮闘する、赤十字のフランス人女医マチルド。修道女たちとの絆。

もちろん、危険を顧みないマチルドの行動力があってこその奇跡だけど、厳格な院長と、マチルドや修道女たちの間に立って苦悩するマリアの姿も印象に残りました。
そしてこの映画、歴史ある修道院と修道女、彼女たちが赤子を抱く姿はまるで宗教画を観ているような、厳かな雰囲気がありました。


(ネタバレ)
ところで、
修道院を守ることと、人命を守ること_。
矛盾する命題なのでしょうか。

院長は修道院を守るために、赤子を冬空に棄てるという大罪を犯す。でも彼女自身もまた妊娠させられていたことを鑑みると、単純に修道院を守るためだけではないような気がします。院長にとっても腹の中で育ってゆく我が子は神に対する裏切りであり、背信の象徴であった。そして修道女たちの赤子もまた恥辱であり、棄てるという行為を繰り返したのではないか。彼女の苦悩は誰よりも深く、重かったのではないでしょうか(とはいっても、同情はしないけど)。