みじんこ

夜明けの祈りのみじんこのネタバレレビュー・内容・結末

夜明けの祈り(2016年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

2019/02 CS録画。フランス、ポーランド制作。1945年、ポーランドの教会のシスターたちとフランス赤十字の女医の話。実話に基づいたお話らしいです。半ば腹を立てながら観ました。

院長は「神が望めばそこには生があるし、そうでなければ、それは神のご意思だ」と考える程の、側から見ると"過度な信仰心"を持つ人だったのでしょう(最初、医療を拒否するのもそういった考えからでした)。本人が最後に吐露するように「皆の名誉」も考えての行動だったのでしょうが、やはりその先に「神が望めば…」があったからこそ、人殺しとも呼べるその行為に踏み切れたのではないかと思います。…と、頭で考える事は出来るけれど、どうしても心でそれを受け入れられない。私が何の信仰心も持たないせいかもしれません。
しかしこの映画にはもっと解せない点があります。


この映画はそういった過度な信仰心を否定しているように見えます。
信仰心と対抗する存在である女医のマチルドがヒロイックに描かれていますし、ラストシーンでは彼女こそが希望のように描かれています。

マチルドの恋人の男性医師がユダヤ人であることもそうです。現代的な観客には分かりきった「差別はいけない事」だというのを、シスターたちは考えません。信仰心が彼を拒否します。(結局シスターたちが折れたので皆が助かります)

そして院長は最後にはひっそりと暮らすようになります。更に1人だけ梅毒にかかっています(状況的には他にもいたかも知れませんが彼女以外で言及されている人はいなかったと思います)。医療を拒否しているので、おそらく院長はこの先、もっと重篤な状態に進むでしょう。拒否し続ければ最後はそれが原因で命を落とすでしょう。

最後に神の道を捨てたシスターが晴れやかな笑顔をすることも同様のことを印象付けます。

…ちょっとやり過ぎではないでしょうか。

どこまで史実に基づいているのか知りませんが、信仰心をあからさまな悪として(それも信仰心の度合いに応じて勧善懲悪的に)描き過ぎに見えます。
映画のメッセージがそこにあるのでしょうが、この描き方では狭量さを感じずにはいられない。ストーリー的には信仰心の狭量さを描いているにも関わらず、映画自体が狭量だなんて。

また、演出面も不満でした。特にマチルドからの"提案"のシーン。チープに映りました。あの登場の仕方を始めとする演出がチープ。他の部分でも「ホラー…?」みたいなシーンが多く、内容と演出がしっくりこない気がしました。


昔好奇心から聖書を読んだことがあります。私には分かりませんでした。その時に特に印象的なくだりがあったのですが、他の方のレビューを読むと、どうやらこの映画の原題が意味するものはまさにその話のようです。興味のある方は検索すると出てくると思います。