このレビューはネタバレを含みます
エクスペンダブルズシリーズは全て予習した上で劇場で鑑賞（吹替版）
ジェイソン・ステイサム主演の映画としては悪くない作品。
けどエクスペンダブルズシリーズとしては間違いなくワーストの出来になっていた。海外でエグいぐらいコケたってのもよく分かる。
まずは良かった点から。
最初にスタローン演じるバーニー･ロスとステイサム演じるクリスマスのやり取り。そして旧エクスペンダブルズメンバーとの絡みは悪くなかった。独特な台詞の言い回しや掛け合いは見てて「あぁ、この映画はエクスペンダブルズなんだな」と思わせてくれる。
そして新キャラクターとしてトニー・ジャーが味方として参戦。悪役にイコ・ウワイスの出演はアジアアクション映画好きとしては非常に嬉しかった、トニー・ジャーの設定もビジュアルも好み。殺戮マシーンとしての過去を持ち戦闘能力ピカイチでバーニーの旧友。この設定は良かったと思う。
イコ・ウワイスも本作のボスキャラと言うべき立ち位置でトンファーを用いる。これも個人的には良かった、アクションもそこそこの出来だった。
そして悪い点。
まず全体を通して思った事はエクスペンダブルズ「らしく｣ない。
今回は脚本にもスタローンは一切参加せずってのが理由か分からないけどエクスペンダブルズ特有の男臭さがあんまり感じられなかった。何処かスマートになってると言うか…
多くのアクションスターが出演している映画で個々の見せ場も極端に少なくステイサムのワンマン映画になっているのが本当に勿体ない。全体的に盛り上がりに欠け、熱量が足りない気がする。
キャストも勿論豪華なんだけど過去のアーノルド・シュワルツェネッガー、ブルース・ウィリス、ジャン・クロード･ヴァン・ダム、チャック・ノリス、メル・ギブソン、ハリソン・フォードと往年のアクションスターらに比べてしまうとどうしても見劣りする面子。
4作目となればマンネリ化が進むのは仕方の無い事だと思うけどスケールの縮小を補う方法はもう少しあったと思う。
それと今回のキャラクターの見せ方にも問題があると思った。
第一作目から出演している面々を完全にかませ犬として使ってるのにどうも違和感を感じた。勿論最後に全員活躍するけどどうも消化不良、ガンナーは老眼で射撃も出来ずトールはろくな見せ場も無く挙句の果てにはラストに負傷しそのまま退場…不憫過ぎるでしょ。
前回はテリー･クルーズか途中退場したけど旧メンバーを負傷させなければいけない決まりでもあるのか…？
何よりバーニーを殺しちゃうって言うのは一番アカンでしょ、スタローンはもうこのシリーズ飽き飽きしてんのかなって勘ぐっちゃうレベル（一旦降板してるから可能性はあるかも…）
そして新メンバーのミーガン・フォックスとレヴィ･トラン、50セント、ジェイコブ･スキピオ。ビジュアルは悪くないんだけど見せ場が無さ過ぎて新キャラクターの割には影が薄い、特にレヴィ･トランと50セント。
クリスマスをクビにして新旧エクスペンダブルズメンバーで敵のいる船に乗り込むのは良いんだけど秒で捕まるって…ただの間抜けにしか見えない。
今回の新メンバーは個性が薄い、これに尽きる。まだ個性があるのはジェイコブ演じるガランとトニー・ジャー演じるデーシャ。
しかしトニー・ジャーの扱いも勿体無かった、劇中でもっと早く登場させても良かったんじゃないかと思う。バーニーの旧友ならもっとそれに沿ったやり取りやシーンを撮っても良かったんじゃなかろうか。イコ・ウワイスと一戦交えても良かったろうに…。
己の身を使った身体能力なら間違いなく今作の中ではトニー・ジャーとイコ・ウワイスが一二を争う、その二人が一切絡み無しと言うのは宝の持ち腐れだろう、彼らならもっとレベルの高いアクションが出来たはず。
トニー･ジャーに至ってはスタローンとのやり取りすら無かったからな、旧友って設定もっと活かせよ…と思った。
キャラの描き方も話の内容も中途半端な所が凄い目立つ。と言うか絶対にこの映画尺が足りない、だから新キャラにも感情移入がしづらく、旧メンバーも蔑ろにする扱いになってしまった様な気が…。ステイサムの職探してるシーン撮るぐらいならもっと別に使う所あっただろ…
勿論全員見せ場はあるんだけど（主に最後の方）うーん…って感じ。ギリ及第点は超えてる、ぐらい。
これがエクスペンダブルズの最後を飾る作品になるのは本当に頂けない。
ただこのぐらいの出来になるならもう作らなくて良いとも感じた。
アクションスター勢揃いのお祭り映画が一端のアクション映画に成り下がってしまった作品。色々言ったけど断じて駄作では無い、傑作でもないけど。
ジェイソン・ステイサム主演の映画だと思って見れば悪くない出来、でもエクスペンダブルズとして見ると痛い目を見ます。
