夜行列車に乗ったカリート

エクスペンダブルズ ニューブラッドの夜行列車に乗ったカリートのレビュー・感想・評価

3.5
スタローン&ステイサムが送る、大味アクション祭り・第4作。
シリーズ全部で監督が違いますが、今回はスタントマン出身のスコット・ウォー監督。

観賞後、「うーんどうなんだこれは…」と思うのと同時に「まぁーこれで良いか」とも思う微妙な印象でした。

3まではスタローンが脚本に関わっていましたが今回は出演のみ。さらに前作までのメンバーは続投していない者も多く、新たに加わるのは、トニー・ジャー、イコ・ウワイス、アンディ・ガルシア、50セント等。

従来のシリーズテーマである「往年アクションスターの大集結!」からは遠ざかってしまった印象で、この陣営でエクスペンダブルズを組むには、やはり力不足感が否めない。内容的には、ほぼステイサムのアクション映画に落ち着いていました。

せっかく動けるトニー・ジャーとイコ・ウワイスを起用したのだから、もっと彼らを全面に出してアクションを増やせば良かった…、とも思います。
しかし、今回の主役はあくまでジェイソン・ステイサム。シリーズの立役者であるスライが、「ジェイソンにバトンを渡す時が来た」と言っている以上、彼を後継者に立てる脚本が採用されたのでしょう。

元々このシリーズは、「スーパーパワーを持つグリーンバックヒーローでなくても、自らの肉体を武器にスクリーンでド派手に立ち回れるんだぜ」、という旧ハリウッドからの捲土重来型アクションムービー。

第3作目までは、おそらくスライがやりたかった事と合致していたのでしょう。
第4作の企画はかなり難しかったと思います。製作段階で、プロデューサーと揉めたり(CGの派手なアクションを起用したいプロデューサー側と、スタントを多用した生身のアクションを目指すスライとの、意見の相違だと思われる)、コロナ禍とハリウッドストライキの問題もあったよう。

そういった背景もあってか、スライが元々やっていた事と、本作がだいぶズレてしまったため、このような中途半端な内容になったのでしょうね。
映画の企画段階で失敗している印象があります。

ただ、やっぱりスライが葉巻をふかしながらハーレーに跨がるシーンは最高に格好いいと思います。生き様が反映されているというか…。
ステイサムと並ぶ姿を見ていて、「あーこれなんだよな」という80・90年代のアクション映画のような、懐かしさにも似た感情が沸き上がります。

スライがだんだんアクションから離れていってしまうのは、どこか無情な気がして残念ですが、仕方の無いことですね。