movieJack

許された子どもたちのmovieJackのネタバレレビュー・内容・結末

許された子どもたち(2019年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

時間が空いたファーストデー割引日
映画館で新作映画を観たいという欲望だけで
前情報なく内藤瑛亮監督作品も初観賞
ミニシアターで1席飛ばしとはいえ完売で注目度の高さが感じられた

イジメと少年犯罪に伴う親子関係
加害者と被害者両サイドの本人と家族への影響
直接的やネットによる誹謗中傷や
事件に群がるメディア等についても描かれる

冒頭に主人公が低学年頃に受けた暴力的なイジメに苦しむ母子二人が描かれ
イジメ=してはイケないこととの倫理観が芽生える前に被害を受けたことから
善悪の判断が出来ないまま成長したのか
父親が公判で伸べていた
「イジメを受けた苦しみを知っている者はイジメをしない…」との大人の妄想と願望が完全に否定され

イジメられる側にも責任がある
イジメる側は誰も罰せられない
ヤラなきゃヤラれる位の心理等が形成されたのか…

その主人公が成長すると共に
身体は大人に近づきイジメられる側からイジメる側へなったことから
そのヒエラルキーを誇示(維持)するためか暴力的な行動が止まらず
母親もまた過去の影響からか子離れできずに過保護になり過ぎる負の連鎖
だがこれも過去の出来事から致し方ないかも…と全否定もできない倫理観が揺さぶられ

家庭内と外では全く別人に豹変し
自分で感情をコントロールできない少年期特有の未成熟な人間性は過去の記憶を刺激される

またエンドロールに大量に列記されている参考文献の中から
一番キツイ部分を抽出して構成し
色々な人物像を交ぜているからなのか(勝手な印象です…)
主人公に更生の兆しが全くなく
他人の前で虚勢を張るのは解るが
1人の時でも善悪の判断が全くできない行動等(終盤の河原での破壊衝動や再度ボウガン作成)は理解不能で気分が悪くなる描写の連続
イジメについても女子グループも含め誰にも反省や後悔するシーンがなく観客のストレスは溜まるばかり(ボクシング女子が観客の化身なのか…)

観客の過去の過ちや
忘れていたイジメ等に関する苦い思い出を
心の奥底で鍵を掛けた箱から全てぶちまけようとしているのか
ウ~~~っと胃に溜まるダークな異物が
繰返し込み上げてきて
観ていて気持ちの良い作風ではなく
「葛城事件」や「聲の形」に似た
内面をえぐり後味が悪くなるように創られた苦手なジャンルであったが
このような題材は誰かが描かないと永遠に解決できない人間特有の行動心理とも思われ
小中学生等に観賞の機会を与える必要があると思われた(過激な映像の処理は必要だが年寄りが観てももう遅い…)

また弁護士や刑事役の風貌と話し方等
印象的なキャストが散りばめられて惹き付けられるシーンは多く
全演者のここぞという時の表情と目力も凄まじく
特に被害者家族が登場すると緊張は高まり
中でもその母親が登場すると
画面の雰囲気がガラリと変わり眼が離せない程の強い印象を受けた
movieJack

movieJack