こつぶライダー

カーゴのこつぶライダーのレビュー・感想・評価

カーゴ(2017年製作の映画)
3.5
オーストラリアを舞台にしたゾンビ映画。

一口にゾンビ映画と言っても、これまた一風変わった切り口で見せてくる内容だった。

オーストラリアという乾いた広大な荒野に、先住民族・アボリジニと、白人との過去の歴史的な関係が逆転していくのを次第に予期させていくメッセージ性があった。

そんな大きなテーマとは別に、素直に家族愛を感じ取れる普遍的な作品としても観て取れる。


最近はコロナもあってか、感染・伝染の作品が軒並み注目を浴びているイメージ。
毛色は変わるが『スマイル』も似ていたかも。


そんな中で、今作はマーティン・フリーマンの熱演が見事でしたね!

荒廃している社会で、船で川を放流して生き延びていた家族だったが、遂に母親が感染!
悲しき、悲惨な別れあり、その後は父親アンディが娘ロージーを守るために必死に安息の地を探す旅に出る。


序盤、この夫婦のカースト的に明らかに頼りない父親像だったアンディ。
だからこそ、彼が慣れない赤ちゃんを抱えながら頑張る姿に感動する。

世の中の不器用な父ちゃん方よ、観ろよな?
これが親父の生き様だぞ!?


驚いたのが、主人公であるアンディがかなり早くから感染してしまう!
今作、ユニークな設定がありまして、なんと感染してから約48時間猶予があるというのだ。

その設定が上手く物語を盛り立てていて、生命のタイムリミットまでどうにか娘に未来を、、、と希望を抱きながら進むことになる。

終盤、とある家族が自死の道を選択するが、これまた映画『ミスト』を思い出させるような描写に、胸が締め付けられる。


終末世界で生き抜く。
私たちは彼らから学ばなければいけない。
絶望の淵に立っても、未来への芽を護る術を。勇気を。


久しぶりに目頭が熱くなるドラマを観れました!!!


しかし、展開はありきなりなものだったし、アボリジニの宗教臭さや、結論救われたのかスッキリしない感は否めず。

とは言っても、あくまでもいち家族のいちドラマであって、どうしてこうなったのか?とか、世界はどんな結末になったのか?なんてのは野暮な話。

これはこれで良いのよな。
欲張りないなら『バイオハザード』でも観てもらってだな。


ゾンビ映画、久しぶりに観たけど、色んなテイストで攻めていて面白かったです。

ちなみに、ロージー役の赤ちゃん。
ブラピとアンジーの子どもにちょっと似てた。
めっっっちゃ可愛いからこそ、必ず生還して!!って願ったのは私だけではないはず。
こつぶライダー

こつぶライダー