トンボのメガネ

三度目の殺人のトンボのメガネのネタバレレビュー・内容・結末

三度目の殺人(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

※他ブログからの移行の為、投稿日にズレがあります。

本日テレビにて初鑑賞。
CMなしで集中して見ないと真価は測れない作品とは思うが、役所広司が素晴らしかったのでレビュー

割と序盤に広瀬すずを庇って系の展開が伺えるけど大丈夫?この映画…と思って見ていたらとんでもなかった!
焦点はそこじゃなかった。

ラストに向けての役所広司の演技に脱帽してしまった!凄い役者であることよ…

私を信じることが出来るのか?
と詰め寄る三隅に苦悩する重盛を見ながら、信じてあげないといけない気もするが… いやいや絶対無理っしょ!
(ヾノ・ω・`)ムリムリ

これ重盛、完全に三隅に持っていかれてるやん。三隅まじで怖ぇ…と思いながら見ていた口です。

なぜその思考になったのかと考えると…
重盛の父、橋爪功のパンチの効いた台詞が ベタっと頭に貼り付いて消えなかった自分がおります。

「人の命を奪える人間とそうでない人間は 生まれた時に決まっている」
「人がそう簡単に変われると思う方が傲慢」

ああ、自分は心底そう思って生きてきたんだなぁと…

「命は理不尽に選別されている!」と激昂する辺りから三隅に狂気を感じ、 自分の正義を振りかざす野蛮な人間にしか見えなくなっていた。

だからラストの接見のシーンで放つ三隅の 一言に過剰反応している自分がいた。

「ダメですよ〜重盛さん、僕みたいな人殺しに、そんな期待しても。」

怖い!怖すぎる !
法廷は真実を見極める場ではない。
という司法に対する問題提起もあるとは思うが…

そうか!映画を見ている人の器でもあるんだな三隅は…器になるように脚本は丁寧に作られているし、役所広司が見事に演じきっていた。

この映画、謎解きも一つの楽しみかもですが、どう三隅をキャッチしたかも結構重要かも?

三隅の対比に重盛の父や満島真之介がいるとしたら、咲江と重盛は三隅エリアにいるようにも見えた。

社会の理不尽さに目を向けて、社会のルールから逸脱することに正義を見出せるのか?
どちらが正しいとかではないが、確実にどちらも存在していると言うことを忘れちゃいかんなと考えさせられる。

ちなみに謎解きの主体にもなっている、第三の殺人についての私自身の考察。

法廷での信頼性に欠ける三隅の証言が、死刑へと導かれたことから、自死という形の殺人とも受け取れますが…

三隅の容疑否認後に、裁判長室で静かに決定した裁判続行の瞬間とも受け取れる。

広瀬すずの 「誰が裁いているのか?」と言う疑問の投げかけの解答ともとれる気持ちの悪い描写だった。

人を殺めるという点では、殺人犯と裁判官や検事、弁護士も同類であって、ただ許される立場を得ているだけの違いなのでは? と言いたかったのかな?そこらへんは上手く解釈できなかったけど。

欲を言えば… 弁護士役を香川照之かオダギリジョーあたりで見てみたかったな。