グラッデン

三度目の殺人のグラッデンのレビュー・感想・評価

三度目の殺人(2017年製作の映画)
4.1
是枝裕和監督の最新作。本作は、近年の同監督作においてテーマとなっていた家族(性)からは一線を画し、サスペンスと法廷劇に挑戦されております。ただし、様々な家族の繋がりを描いておりましたので近作からの延長線にある印象も受けました。

物語は、鑑賞者の予想を見透かされるような駆け引きのある展開。鑑賞を進める中で「見えた」と思った道筋=事件の真相が、さらに見進めているくと「本当にそうなのか」と疑問を抱えている。そうした状況を脳内で繰り返していました。
この状況は、被告人の変化する証言に翻弄される福山雅治さん演じる弁護士にもシンクロしていたと思います。

また、物語を徐々に明らかになる作品のテーマについては少し唐突にも感じましたが、鑑賞後に振り返ると作品全般を通じて日本特有の側面を指摘していたとも考えられるので発信という意味では良い問題提起になったのではないかと。大学で少し法律を学んでいた人間としては、作中に幾度となく登場する「?」に一定の理解を示そうと努力しておりましたが、是枝監督が伝えたかった「?」に真摯に向き合えということだと感じました

キャストについては、確かな仕事ぶりはもちろん、満島真之介さんをはじめとする脇を固める面々の存在感も素晴らしかったてす。ただし、検事役の市川実日子さんはズルすぎる(汗)
個人的には、是枝監督の作品では2度目となる広瀬すずさんの仄暗さが見え隠れする落ち着きのある演技が良かったです。