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三度目の殺人のmitzのレビュー・感想・評価

三度目の殺人(2017年製作の映画)
2.5
再び殺人を犯した前科のある犯罪者と弁護士。「真実」より「勝利」に固執する主人公重盛が、面会を重ねる度に主張の異なる加害者三隅に翻弄されながら二転三転する法廷映画です。
脚本の作風と監督の趣向が交わり、内容と反比例し常に「静」の映画です。行間をたっぷり使い込み、三隅演じる役所広司の演技により触れそうで触れられない「真実」に心地良いフラストレーションを溜め続けられます。有能な弁護士重盛演じる福山雅治が終盤に「本当の事を教えてくれよ!」と叫ぶシーンは観ている側の代弁としてシンクロします。
しかしこの作品は最後の最後までスカし続けます。そこに好き嫌いが二分すると思います。個人的には前述した場面で物語の全貌が氷解する事を望んでいました。
静かに物語が流れ、精神的勃起を迎えぬまま行間に遺された結末と浮遊する「三度目」「カナリア」「器」という言葉たち。消化不良が過ぎます。
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