もう夏

三度目の殺人のもう夏のレビュー・感想・評価

三度目の殺人(2017年製作の映画)
2.5
面白かった。
帰省最終日。空は暗くて、昼からリビングの電気をつけていた。

見た印象としては、「よく分からない」映画である。
一応は「少女を救うために二度目の殺人を冒し、そして少女の未来を守るために自分自身を殺して三度目の殺人を犯した男の話」として完結しているが、それでは一度目の殺人に必要性を感じないし、引っ掛かりと呼ぶには多過ぎる違和感を感じた。
そこで私が出会ったのがネットで発見した解釈だ。
それによるとこの話は「サトリのような特殊能力、感情同調に当てられ過ぎてしまった男の悲惨な人生と救済」と解釈できるそうだ。
凄いな……、世の中には思いもよらないことをしっかり考えてくれる人がいるんだな。凄いや

“生まれて来なければ良かった人間は、いる”
そう思うのはきっと自分自身が生まれて来なければよかったと思ったことのある人なんだろう
三隅は法に引っ掛かったが、彼程露骨ではなくても生き辛さを感じている人間はこの世界にごまんと溢れている。
三隅は生きているだけで感じる罪の意識を今際の際に手放すことが出来た。彼が生きてきて初めて自分の人生の意味を肯定出来たのだね
彼の救済がどんな意味を持つのか、救済が万人に訪れるのか、それは分からない。

この映画の全てが「よく分からない」話で、それが社会の本質なのだと思った。
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