Sachika

ふたりの J・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏のSachikaのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

小説家のローラは、J・T・リロイという名で、"実体験を基にした"母親に性的虐待をされた男の子の「自伝小説」を書き、大ヒットする。
ヒットに伴いインタビューや撮影等、表舞台に立つことが必要になったが、表に出れば作者が女性のローラだとバレ、自伝ではなくフィクションであるとバレてしまう。
売れなくなることを恐れたローラは、中世的な見た目の、義理の妹サヴァンナを代役に仕立て、J・T・リロイの人物像を作り上げる。

顔の見えない電話対応やインタビューはローラ自身が行い、サヴァンナは操り人形の如く、人前に出ているときにのみリロイ役を演じていたが、リロイの大ファンである女優エヴァとの恋に目覚めてからは、ローラに反抗し、自ら行動するようになる。
しかしエヴァとの恋は虚構に終わり、世間に真実が知れ渡ると共に、J・T・リロイとしての生活も終わりを迎える。


金儲けのための嘘はいけないとしても、ファンの期待とか読者の需要に応えるのって難しいことだと思う。
作者の見た目や人物像に期待して読む人も少なくはないだろうし、美少年の「自伝小説」として売れたからには、後戻りができなかった。

最終的にはサヴァンナがカフェで働く女の子だとバレ、そこからJ・T・リロイの正体が明かされてしまうが、ローラもサヴァンナも罪には問われなかった。
そしてローラは本当の作者として公表し、サヴァンナも小説家を目指す。
話の山を考えると、ちょっと普通すぎたかなあとも思うのだけど。。
この映画を「人を騙す物語」としてだけでなく、サヴァンナの変化とか成長の物語としてみると、良い作品だなあと思います。
Sachika

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