アキラナウェイ

ヒトラーに屈しなかった国王のアキラナウェイのレビュー・感想・評価

3.3
U-NEXTの配信終了フラグが立っていたので、慌てて鑑賞。

3月は配信終了が多いなぁ。
きっと配信契約の切れ目なんだろうな。
時々「終わります詐欺」もあるから、終わらないかも知れないけど、観たかった作品は今観とかないと。

第二次世界大戦時、ナチス・ドイツ軍の侵攻に抵抗したノルウェー国王ホーコン7世を描いた歴史ドラマ。

ナチス・ドイツ軍によるノルウェー侵攻が起きる前日の1940年4月8日から、国王ホーコン7世がナチス・ドイツの降伏要求を正式に拒否した翌日の4月11日までを中心に描く。

その時、中立国であるノルウェーで何が起きたのか。

冒頭、孫と隠れんぼに興じる国王。
優しいお爺ちゃん。
その表情も何もかも。
その優しさが本作では鍵となる。

ノルウェーの歴史がよくわからないけど、デンマークで生まれた彼は、1905年、ノルウェーはスウェーデンとの同君連合を解消して独立した時に、大叔父のスウェーデン=ノルウェー国王オスカル2世に代わってノルウェー国王に選ばれたそう。

彼が生粋のノルウェー人ではなく、言わばお飾り的な国王だった事が窺える。

立憲君主制であるノルウェーに於いて、本来国王は政治不介入の存在。しかし、突如始まったドイツの侵略行為に対して、国内ではクーデターが勃発し、本当は戦争を回避したい 駐在のノルウェー・ドイツ公使との会談に国王自身が相見える事になる。

ノルウェーの歴史がややこしい上に、至って地味に淡々と進むストーリー。

ドイツ侵攻の艦隊迎撃シーンや空爆シーン等、多少の見せ場はありつつも、国王一家が逃げ惑う場面が続くので、退屈と言えば退屈。

何より、ヒトラーが出てこないので、邦題が示す程のインパクトはない。

歴史の勉強にはなるけど、それ以上でもそれ以下でもなかったと言うのが本音かなぁ。

それでも、突如始まったドイツの侵攻に対して、王室一家がバラバラになり、国王もイギリスに亡命した事で、あんなに可愛がっていた孫達と何年も会えなかったというのは辛い。

終戦した後、背丈も大きくなった孫と対面するシーンは、戦争によって離れざるを得なかった一つの家族の物語として胸に来るものがあった。

いきなりドイツが攻め入ってくる事も、
突如地震が起きて津波が押し寄せてくる事も、
新型のウィルスにより、日常が掻き乱される事も、
本質的には全部一緒の事で。

壊される日常。

それはまさに今世界で起こっている事と何ら変わらないんだと実感。明日がだんだん見えなくなってくる閉塞感。ウィルスの収束を願うけど、外出を禁じられ、仕事が脅かされ、収入が激減する国民を目の前にして、何ら具体的な補償や解決策が打ち出されないままのニッポンよ。

国民から絶大な支持を得るノルウェー国王が断固としてドイツと戦った様なリーダーシップが、今の日本に欠けている様な気がしてならない。