竜平

ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれたの竜平のレビュー・感想・評価

4.5
2013年に実際に起きたボストンマラソン爆弾テロ事件。その現場に居合わせ被害に遭ってしまう「ジェフ・ボーマン」という男性の、その経緯と事件遭遇後の人生を描く。

同じ事件を題材にしているピーター・バーグ監督の『パトリオット・デイ』と合わせて見るとかなり濃厚な楽しみ方をできそう。とまぁそれは置いといて。ジェイク・ギレンホールが実在の人物、なんというかダメ男を好演。彼ってこういう癖のある役が本当にハマる。事件が発端となっての物語にはなるけど、それを軸にして描かれる一人の男の苦悩、元々の性格も手伝っての家族や想いを寄せる女性との衝突など、とても人間くさい展開に見入ってしまう。この主人公の性格というのが個人的にめちゃくちゃ共感できる部分だったりもして、自分本位というか意志が弱いというか、その欠点みたいなものが障害者となってまた浮き彫りになるんだけど、元々からのそれも見え隠れする感じにグッときたりする。人の本質ってのはそんな簡単には変わらないと思うけど、でも気づける瞬間が確実にあって、「気づいたときに何ができるか」なのかなぁなんて。主人公の取り巻きそれぞれが葛藤する姿というのも印象的。登場人物にいい具合にイライラさせられるのも、個人的にはヒューマンドラマとして素晴らしい点だと思ってたり。

見終わったあとで「感謝」という言葉、その気持ちというのも深く考えさせられる。実際にあった事件を知ると同時にこちらも何かを受け取らざるを得ない良作。周りが見えなくなってしまったときにまた見ようと思う。
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