りりー

転校生のりりーのレビュー・感想・評価

転校生(2015年製作の映画)
4.2
マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバルにて。これは良い子供映画!
学校に馴染めないことが子供にとってどれだけ切実な問題かを、瑞々しく柔らかなタッチで淡々と描いていく。とっくに通り過ぎた出来事だというのに、つらくて直視できなかった。自分だけが話に入れない、大声で悪口を言われる、給食を食べる席が見つからない、ブタと呼ばれる、持ち物を盗まれる…つ、つらい!観返したいけれど観たくない!
ブノワのずるさ(と呼ぶほどのものではないのだけれど)をきっちり描くところが誠実で良かった。わかるよ、君の気持ち。いじめられっこの彼のキャラも良すぎる。二度目のパーティーのシーンはやりすぎにしても、嫌いな人たち・許せないことを忘れないように書き留めていた彼が、それを剥がして好きな人たちだけを残すシーンに泣けた。キュートな告白シーン&キスシーンも素晴らしい。
ラストの余韻もたまらない。永遠にも思える放課後を繰り返して、学校生活はひそやかに終わりへ向かっていく。笑ったり泣いたり、歌ったり踊ったりしている間に。ブノワたちに、シャルルたちに(ちょっぴり嫌な目にあってほしいけれど)、ジョアンナとボーイフレンドに、大人びた少女たちに。彼らの未来に幸あれ!
りりー

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