KnightsofOdessa

サマーフィーリングのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

サマーフィーリング(2016年製作の映画)
5.0
[青は夏の色、悲しみの色] 100点

忘れたくないけど時の流れに沿って少しずつ失われていき、でもそこにはちゃんとある記憶。愛すべき人の死。本当にしょうもないことばっかり覚えている私だって、詳細が失われていくことに対して悲しくなるし、思い出しても悲しくなるし、どうすればいいのか分からなくなることもある。だから、私はジュディット・シュムラの美しい太ももと二の腕を見続けることで、本作品の感想を"太もも万歳"で埋め尽くそうと思った。そして見事に失敗した。

そもそも、青のベタ塗りで始まった物語は、アヌシー湖の"水"を"涙"に変換し、場所を屋上に移すことで二人をサシャに少しだけ近付け、最終的に青空と海とイーダの青い服に終結させることで、夏の色かつ悲しみの色だった"青"を薄めていく。映画はロレンスをゾエをその両親をダヴィッドを肯定し続ける。良し悪しはない、それでも人生は続いていくと。『アマンダと僕』と語り口はほぼ一緒なんだけど、あっちが子供に逃げていたのと妙にリアルじゃないのに対して、本作品の薄味感は好ましい。

余談だが、ジュディット・シュムラってどっちかと言えばジュリエット・ビノシュよりカトリン・カートリッジだよね(謎の強い拘り)。ビノシュもいいけど、カートリッジは至高。
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