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サマーフィーリングのslvのレビュー・感想・評価

サマーフィーリング(2016年製作の映画)
3.8
『アマンダと僕』と重なるテーマながら、こちらの方がさらに微妙な関係性を繊細に描いていたように思う。

突如として恋人を失ったロレンスと姉を亡くしたゾエ。
この二人の間でしか共有出来ない感情は、きっとどちらかが何か言葉にしてしまったら簡単に壊れてしまうような、そんな繊細で儚い繋がりなのかもしれない。。
だからこそ、それをお互いが静かに察知し合い、守り合っているような、そんな曖昧で複雑な関係性が切なくも感じられた。

二人の間の特別な縁が、穏やかにゆっくりと育まれ、紡がれていった3度の夏模様。

ベルリン、パリ、ニューヨークと移り変わっていったその風景は、どの場所もどの景色も、眩いほどの光と柔らかな色彩に溢れながらも、いつもどこか寂しげで。
美しさと、懐かしいような淋しさを同時に感じさせるような映像が印象的で、心に残る場面が幾つもあった。

家族も、恋人も、友人も、仲間も、寄り添ったり離れたりを繰り返しながら、それぞれの場所でそれぞれの人生を生きていく。
そして互いに想い合ったり、必要とし合うことで、その関係性を持続していける。

誰かと過ごすひと夏は、二度と戻ることのないかけがえのない時間であり、いつだってその瞬間は特別なんだということが、じわじわと心に滲みてくるようだった。

静かで淡々とした描写の中にも、喪失から再生までを穏やかに見守るかのような優しい眼差しが感じられる、心地良い作品でした。
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