Wakana

サマーフィーリングのWakanaのレビュー・感想・評価

サマーフィーリング(2016年製作の映画)
4.5
愛する人を失った孤独を抱える男女の話。
あなたがいなくて寂しい、変わってしまったことが悲しい、でも少しずつ笑えるようになってきた——というように、三つの街を経るごとに移ろう二人がとてもよかった。
夏目漱石の「凡てを癒す「時」の流れに従って下れ」を思い出すというか、時が経つにつれてその空洞はひと針ずつ繕うように埋まっていた。うまいなと思ったのは、その埋まりかたが同じじゃないから(姜尚中は時の経過で「悲しみは水に溶けていく墨のように暈けていく」と表現していた)、二人の連帯には同じ悲しみを共有できる癒やしの側面もある一方で、「自分だけ立ち止まっている」と不必要に傷つけられる痛みも含まれていたから。

というかシリアスなのにとても爽やかに見れたのは夏のどの街並みも明るく美しかったから。昨日の梅雨の晴れ間のように、これから同じ夏(いやまったく違うか……)を迎えることが楽しみになるような映しかた。
ついデニムのショート・パンツを買い足した。
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