たてぃ

アイアンクロス ヒトラー親衛隊《SS》装甲師団のたてぃのレビュー・感想・評価

3.7
まさかナチス武装親衛隊SSを主人公にした作品を見られるなんて驚きでした。

「この映画は政治的な作品ではなく、一人の兵士の物語である。勝者の栄光は敗者の悪を暴き世界に知らしめるが、自らの罪は闇に葬る」とイタリア人の青年監督の言葉から始まる。前半はロシアでの戦場(1943年)、後半はフランスでの戦場(1944年)です。
主人公目線による戦場での境遇を実体験を元に作られており、アクション少なめで心境の変化がメインです。なので、娯楽要素はないし、ストーリーも淡々と進むため退屈かもしれません…ただ自分のにとってはいろいろな発見があって、それは…
①ユダヤ人虐殺を親衛隊にいた主人公でさえ知らなかった
②親衛隊に入ったきっかけは政治的思想ではなく、戦死した父親をナチスは「国のために戦った英雄」として評価してくれたため
③大戦当初は「国の誇りのために戦う」から戦況が不利になってからは「国防のために戦う」に変わったこと
などですかね。

武装親衛隊については、戦後の評価では「犯罪組織」とされてます。確かに、第二師団がフランスの村で大規模な虐殺が行われた事実がある一方で、当作品の主人公のような人や、ノーベル文学賞を受賞したギュンター・グラス(映画「ブリキの太鼓」の原作者)のような若者もいたんですよね…また、大戦後期には人手不足で外国人までいたり…(映画「1944 独ソ・エストニア戦線」でも描かれてます)

「悪い奴らの中にもそうでない人もいた」を監督は訴えたかったんでしょうね…それをドイツではなくイタリアが製作した作品という意味では観て良かったかなと思います。
たてぃ

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