ふじこ

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーのふじこのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

半分くらいは理解できたと思うんだけど、もう半分は難しくてとても理解出来なかった。すごく好きだと思うんだけど、その自信がない…。

何事にも必ず終わりがある。人は死に、その周囲の記憶を持った人達も死んでしまえば完全に無になる。どれだけ素晴らしく価値のあるものでも、地球がなくなりでもしたらきっと消えてなくなるんだろう。
でもまた何処かで同じようなものが生まれ、元からあるそれと知らずに愛されたとしても、それでもそれも何時か無くなる。
劇中で3番目の住人のパーティーで熱く語られていた内容がこんな感じで、分かる、と思っていた。

そもそも最初の方で、あっこれ苦手なやつかも知れない と思って1.8倍速の上に無音の長回しシーンは飛ばしてしまった。(霊安室とかパイとか)
そのせいか分からないけど、まず夫があの家にすごく執着している理由が分からない。
キラキラのドアを通って成仏するのを止めて奥さんの所に戻ったのは分かる、わたしも夫が心配でそうするかも知れない。
でも結局、立ち直り出ていく奥さんを追わないのも分からない。地縛霊なのか…?そこまで家に執着するのは何故?
愛のために戻ったのか、家のために戻ったのか分からないわ。
奥さんが引っ越しの際に柱の所に埋めたメモに固執するのは分かる。わたしだって見たい。
つまり…結局、立ち直って他の男を愛したり、自分の事がやがて古傷めいた物になって、時折ふとした瞬間に思い出すような存在になってしまうのを見たくなかったのだろうか。
あの柱に埋めたメモだけが、今後の彼女から貰える唯一の物であり、同時に自分と彼女が愛し合っていたと言う確かなものである、と。

そんでまた後半、幽霊になってシーツ被って戻ってきた自分を見ている自分、でま~た分からなくなってしまった。自分という存在は普遍のものではないのか…?

お隣の花柄のシーツの幽霊が、もう憶えていない誰かを待っていて、家が取り壊された未来で"もう来ないみたい"と言って消えるシーンは良かったなぁ…悲しくて。
霊には時間の概念もなさそうだから、瞬きするような間に何年も経つのもいいなぁって思った。過去にも戻れる。物凄く過去なのに、女の子が未来で自分が作った歌を鼻歌してるのも良い。

最後の最後、ようやくあの時のメモを見て消え去るシーンも印象的だった。妻を見守りに戻ってきたのだろうけど、何時しかきっとあのメモだけが、愛した妻との全ての証になってしまったのかも知れない。
きちんとした思考はあるんだろうか…?
そして最後家のドアが開いた理由は…分からん…分からん事だらけだ…けど、なんでかすごく愛しい映画だったなあ。

結局メモの内容は分からなかったけれど、それで良いと思う。
あれは時を移ろって彷徨った彼と、自分の人生を生きていった彼女、二人の夫婦だけの物であるから価値があるのだと思う。
ふじこ

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