えるどら

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーのえるどらのレビュー・感想・評価

3.1
場所に、物に、留まり続ける思いは時間を超えて永遠に残り続ける
そんな感じの作品

ゆったりした映画だった。
セリフは少なくて、役者の表情やほんのわずかな動作で魅せようとする映画。
土曜の夜にゆったり見るのにぴったりな良作。
でも、中身は意外と難しくて、ぼーっと見てたら視聴後に「で?なんだったんだ?」ってなっちゃうかも。

ヒロインは幼少期に何度も引っ越しを経験しており、引っ越しの度にその家に「手紙」を残していた。
その「手紙」は今の自分の気持ちを歌った詩などで、またこの場所に帰ってきたときに当時の自分の気持ちを思い出すために置いていく。
ヒロインの旦那が突然死亡、その遺体からゴーストが生まれ物語が始まる。

この物語におけるゴーストは、旦那の魂のことではなく、旦那の中に残った「ヒロインから旦那への想い」みたいなものなのではないかと思った。
もしくは「旦那の中にあったヒロインへの想い」かもしれない。
長い長い年月が経過し、一度世界が滅んでまた生まれ変わっても、想い自体はそこに残り続ける。
そうして最後に、相手からの手紙の内容を確認したゴーストは成仏する。

あるいは、もっとシンプルに、相手のことが忘れられなくて地縛霊になってしまったゴーストが手紙を読んで成仏する話なのかもしれない。
洋画で、雰囲気もやたらお洒落なので頭にハテナが浮かんだけど、極東の島国の死生観だと割と普通なのかもしれない。

ホラー映画ではなかったし、たぶんラブストーリー映画。
えるどら

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