素晴らしすぎる。全てが儚くとも美しい。
ゴーストの視点から、ある家の長い歴史を追っていくストーリー。作品を通して描かれる空間としては狭いんだけど、スケールは無限大。どこか神秘的で、宇宙を感じられる世界観。
最小限のセリフに、最高の音楽で魅せる演出。言葉で語られるわけではないのに、伝わってくるゴーストの感情。感情の起伏で変わる音楽の使い方。繊細に変化する素晴らしいサウンドエフェクト。
画作りも素晴らしく、どのシーンも一つの画として完成している。日常のふとした景色に映り込むゴーストは異質的ではあるのだけれど、何故か美しい。少しずつ汚れ廃れていくゴーストの被るシーツを見て時の流れを感じ、胸が痛くなる。
それでいて、ありきたりな着地点に収まっていないのが良い。視聴者の解釈に委ねられるラストカットが美しい。エモーショナルな気持ちになる。
この映画は夜中に静かな部屋でゆっくりと堪能して欲しい。“音”が印象的に使われている作品なので、可能ならイヤホンをして。
