Monisan

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーのMonisanのレビュー・感想・評価

4.2
観た。

センスが良い…
本当世の中にはどれだけセンスの良い人間がいるのかを考えてしまう。

これも角の丸い正方形の画角。そこに映る、家とやたら長回しの男女が美しい。役名はCとM。
不穏な雰囲気もあるが特に何もない。そこからの映画史上いちばん静かで穏やかなんじゃないかという交通事故シーン。

Cは霊安室から白い布を被ったままムクッと起き上がる。そのまま家へ向かう。
道中の野原を歩くゴーストのひき絵、素晴らしい。2段階目のドン引きが特に。

そこからは切ない。
胸が苦しくなる。何もしてあげられない。Mのパイをひたすら食べる長回し。見守るゴースト。
隣の家に別のゴーストを見かけ、会話をする。人を待っている、けど誰か覚えていない。という隣のゴースト。ここはその場を動く事の出来ないゴーストが過ごしている時の長さを感じさせ、絶望感が凄い。このシーン怖かった…

家を去っていくM。最初2人で話をしていたようにメモを壁の隙間に残していく。やはりゴーストは家から離れられない。
時はすぎ、住人は変わり母子家庭の3人に。思わず荒れるゴースト。
合間に入る、壁の隙間をカリカリしているゴーストがただ切なくて寂しい。

ただ白い布を被って、目の所に穴が空いてるだけなのに。悲しそうに見えたり、表情を感じる。

家でのパーティーでおじさんが宇宙の物理的終焉を語る。分かるけど、きっとゴーストは意に介して無いだろう。
廃墟となった家でまだカリカリしてる。愛らしい。変な言い回しだけどゴーストの生きる意味なんだろう。
紙が取れそうな瞬間、重機。ショック…
そして隣のゴーストのいなくなり方…辛い。

時空を彷徨うMゴースト。孤独。未来のビルから身を投げる。
そして2人の時間へと。Mはメモにどんな言葉を見たのだろう。
生きた意味なのか、成仏できる内容だったのか。Cはその家での生活が思い出せるものを書く、と最初に言っていた。きっとメモの内容に意味は必要ないのかな、Mが納得できるものならば。

ルーニー・マーラは本当に魅力的。
長回しのベッドでのキスのシーンとかずっと観ていられる。Mはケーシー・アフレック、勿論ずっと中の人演じてるんだよね、立ち方、振り向き方、佇まい、良かった。

デヴィッド・ロウリー、脚本・監督
Monisan

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