HenriF

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーのHenriFのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

事故で亡くなった男が幽霊となり、妻と暮らした家に留まり、彼女を見守る。長回しでゆっくりと進む時間もあれば、カット変わりで時が飛んでいるシーンもあり、楽しい。そして、ダイアローグが少なく、絵で見せるスタイルが好み。

ビスタサイズの画角の四隅が丸くなっていることからも、これはカメラのファインダーを通した景色なのだ、とメタ的に示唆されている。作中のハウスパーティーの席で登場する男が雄弁に語ったように、作品を残すことに究極的な意味はない。与えられるとしてもつかの間の希望。それでも私たちはモノを作り続ける。

ラストのシーンで幽霊が消えたのは、視点の消失であり、世界の終焉。終わらない映画がこの世に存在しないように、我々の命もまたいつか尽きる。それでもいいのだ、となんとなく思わせてくれるこの作品が好きだ。
HenriF

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