mimotoxmimoto

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーのmimotoxmimotoのレビュー・感想・評価

3.5
古ぼけた小さなスライドのような画角、壮大で連綿と繋がれる記憶の中で、おばけが見つける大切なもの。

OMG! ロマンチックが止まらない。
シーツを被ったおばけの動作一つ一つが作るドレープの美しさと切なさ。こういう画、撮りたいですよね、わかります! って感じ。

「ああ……あの映画と同じだ」なんて最初から野暮なことを思ってしまったことはどうでもいいくらい、ロマンチックが止まらない。


ただ、中盤、とある通りすがりの登場人物が、この映画のテーマをペラペラと台詞でしゃべってしまうのが、すごくもったいないと思った。あの台詞がないとわからないことが多い映画かも知れないけど、言葉で説明しきれないわからないことこそが描きたいんじゃないの? と思った。
科学では証明されないだろうけど、失ったように見えるものが本当はここにある気がするとか、すべての時空がここと繋がっている超越した自由な感覚とか、そういう、よくわからないけど信じられる、すごく個人的で宇宙的なわからないものへの憧憬を、言葉ではなく映像で描きたいのではないの?



あと、関係ないんだけど、ずっと昔、まだ言葉もよくわからない頃に夢中になったクイズのことを思い出していた。
そのクイズは見開きで、右ページには坂本龍馬と中岡慎太郎が近江屋で飲んでいる絵。左ページには、近江屋事件後の絵で、荒らされた部屋の中、坂本龍馬は殺されていて、中岡慎太郎だけ助けを求めるように動いている。
「さて、右の絵と左の絵を比べて、なくなったものは何でしょう?」
わたしは右と左を隈なくチェックして鉛筆で記しを付けていった。何一つなくなっていなかった。結局わからなくて答えを見たらなくなったものは「龍馬の命」だった。答えを見た瞬間、なんだかとっても脱力したのだった。

関係ないけど。
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