バロウズ

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーのバロウズのレビュー・感想・評価

4.0
限りなくミニマムな映画。
セリフや音楽は最低限かそれ以下。登場人物の名前すら記号化されている。
シーツを被った幽霊が、時代の移り変わりを眺める。ほとんどそれだけ。
それだけなのに、宇宙の始まりから終わりまでを感じさせるような壮大なスケールをもった不思議な作品。

ケイシーアフレック演じる「C」とルーニーマーラ演じる「M」は愛し合い幸せな生活を送っていたが、交通事故でCは他界する。
霊安室のシーツを被ったまま成仏できず彷徨える幽霊となったCは、我が家に戻りMを見守るが、残酷にも時は流れてゆく…

Cはシーツを被っていて表情は読み取れないし喋ることも無いが(幽霊同士での会話は可能)、不思議と感情が伝わってくる。
長回しの撮影が効果的にはたらいているのか、セリフや音楽なんか無くても、登場人物が何を考えているか、何を感じているかが自然と汲み取れるように緻密に構成されているように思った。
パイを食べ続けるMや、ひたすら柱を引っかくCの姿は印象的だし、ラストシーンでは涙が出そうになった。

近年の映画によくある説明過剰な演出にはうんざりしていたので、たまにはこういうアート系、文芸作品もいいなーと思いつつある。

ただ展開がかなりスローだし、エンタメ色は皆無だし、話に大きな起伏もないので人によっては眠くなるかもしれない。
「インターステラー」や「リメンバーミー」なんかが好きな人はハマるかも。
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