NM

ロミオとジュリエット 後篇のNMのレビュー・感想・評価

3.3
乱暴な登場をしたロミオにジュリエットが惹かれるとは、恋は不思議としか言いようがない。
それを補って余りあるような行為をロミオがしたかというとそうとは思えず、ロミオがジュリエットに恋をした理由も、美しいから、としか出てこない。

マキューシオの事件をジュリエットがロミオを非難するのは筋が通っている。そりゃそうだ。誓ったばかりだと言うのに。ジュリエットが見ている前で。

ロミオがこれまでジュリエットのためにやり返したい気持ちをずっと抑え周りから非難されていたのが、マキューシオの死で爆発したのも理解できる。若さの限界か。
しかし、ついでにジュリエット自身まで否定したのは流石に良くなかった。
母に対しても。

乳母がジュリエットを慰める台詞が説得力がある。酷い人だと分かって良かった、という考えは失恋や失意のとき役立つ考え方だと思った。

ジュリエットの母だけは自分も親の決めた結婚をしたので家を守ることに一切迷いがないが、他の両家の家族たちは、怒りで目が曇っているだけで、根っからのモンスターではない様子が時々見える。

神父の説教も深い。絶望し自暴自棄になるロミオに「自分がどれだけ幸運か考えろ」と諭す。ものの見方というのはいつの時も大事。ないものでなく、あるものに目を向ける。試練を乗り越えられるかは自分次第。

乳母は昔辛いことがあったためジュリエットに冷静になるよう諭していて、感情よりも道理を通すまともな人。
しかし恋するジュリエットに理屈は通じない。一目会うと何度でも許してしまう。

こういう恋愛は現代でもたくさんあるだろう。男が不誠実であっても、見つめられ謝られるとつい許してしまう。勿論男女逆も。
ロミジュリだから通るとしても、現実にそういう恋愛をするのは遠慮したいところ。

ロミオの友マキューシオも、ジュリエットの乳母もともに恋に絶望したことのある人であったこともポイント。かえって二人を燃え上がらせた。

二人は若さのあまり無謀な行動したようにも見えるが、他にどうすれば良かったのかと言うとよく分からない。全てが悪い方向へ。
NM

NM