巨額詐欺事件のカリスマ首謀者と、彼を追うエリート警察官の攻防を描く。
韓国で数年前に起きたチョ・ヒパル詐欺事件をモデルにしているとか。とにかく規模のデカい詐欺行為に驚かされ、頭脳vs頭脳の絶え間ないデッドヒートに釘付け。
アクションシーンはそんなに多くないものの、アクション映画と言っていいのでは？というテンションだ。
クズの極みのような詐欺首謀者を演じるのはイ・ビョンホン。心の底から楽しんでます！という芝居でノビノビとしていた。追われる方ではあるが、実質彼が完全主役の映画だと言っていいだろう。
迫力もユーモアも凄みもあり、細かい小技も要所要所で効かせている。さすが。役者だったらこんな役やりたいですよねえ、というオイシイ役で一見の価値あり。
彼を追い詰める刑事役は、カン・ドンウォン。異様に頭が良く、熱意はあるが冷静で孤独な男。もうね、どこをに切り取ってもカッコよくて見惚れる。ただ、ちょっと素敵すぎて非現実的な感じもあり、演じている本人としてはフラストレーションが溜まったかも。もうちょっと人間臭いシーンがあっても良かったかな。いやーでも本当にカッコ良かった。（２回目）
２人の間を行ったり来たりするプログラマー役にはキム・ウビン。オーバーな喋り方や、人を食ったような雰囲気が上手い。それでいて若者らしい未熟さや天才的頭脳も感じさせてギラギラ光っていた。（咽頭ガン克服中とのこと。早いカムバックを祈ってます）
冒頭からハイペースでストーリーが進んでいき、複雑極まりない作戦やらなんやらが怒涛のように目の前を流れていく。ジェットコースターのようでテンションは上がるし、『面白い！』という感想しかないのだが、もうちょっと周辺部分を説明しても良かったかも。
カン・ドンウォンは最初にポリシー的なものをガッツリ提示するのであれでいいと思うのだが、詐欺グループの説明や、カン・ドンウォンチームメンバーの説明がないので、『なんでこの人たちには絆ができたんだ？』とか、『あれ？この人どこの人だっけ？』と、少し置いていかれた感があるのも否めない。
説明台詞を極限まで削ろうという意図は分かるし、韓国では有名な俳優ばかり出ているはずなので、端役でも登場するだけで印象に残ることが前提なのだろうが、「もうちょっと色々教えてから話を進めてくれないかな」とは思った。
まあでも、大満足ですけどね！面白いしカッコいいし！ちょっとみんな不死身すぎたけどね！
