ちろる

ワイルドライフのちろるのレビュー・感想・評価

ワイルドライフ(2018年製作の映画)
3.8
不穏な空気が流れる
なんとも言えない重苦しい空気

ママはパパを愛してるし、パパももちろんママを愛してるはずだけど
パパは相談もせずに山に行くことに決めた。

パパが不在の家は何か歪で、ママは若い頃のようなファッションに身を包む。

一番大切なものは以外に見落としがちで、虚しさを埋めることだけに必死になってしまった。

何もない町、愛する家族のぬくもりだけがその寂しさを埋めるのだけども、ズレてしまった心は怒りと悲しみでなかなか軌道修正出来なくなっていた。

こちらは、俳優ポール・ダノが監督を務め、ピュリツァー賞作家リチャード・フォード の小説を映画化したヒューマンドラマ。
かなり地味だが、登場人物の心情を丁寧に追った、良作だった。

なんならとっくにグレてもおかしくない息子のジョーが、家族が壊れないように壊れないように必死で支えている姿が痛々しく、でも健気で泣けてくる。
ジョーが息子でなかったらきっととっくに壊れてたであろう不器用な夫婦像、神様はよくぞバランスよく家族をあてがったと思う。
そう思うと家族ってものはやっぱり愛おしい。

離れて並んだ椅子、の間に息子が座って、3人並んでぎこちなく笑う。
一度壊れてしまったのだから完璧に再生できるか分からない、でも簡単に壊れるはずもなくまたゆっくりと歩み始めるこの家族をもう少し見てみたいと思いました。
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