平成2年の男

さらば愛しきアウトローの平成2年の男のレビュー・感想・評価

さらば愛しきアウトロー(2018年製作の映画)
4.5
・元東大総長の蓮實重彦氏があまりに絶賛するものだから視聴。

・仮面ライダーの変身ポーズのようなキメキメショットを乱発してくるのだが、これまた絶妙にダサくて、エモさにブーストをかけてくる。かと思いきや、気品ある老練なショットがシーンのシーンのつなぎに差し込まれている。掴みどころのないショットセンスに始終、ニヤニヤしっぱなしだった。気難しいことで有名な蓮實のジジイがこういった映画を愛でているという事実も相まって更に面白い。

・この映画のすごさって、登場人物全員が無言のうちに意思疎通できていて、視聴者もそんな彼らの考えることや話す内容に違和感なく了解できる構成にあるんよな。この構成は終盤に向かうにつれ、軋み、崩れていく。フォレストタッカーから笑顔が消えていく。さぁどうなるかってときにラストのキャプションだ。小憎たらしい演出に頬が緩んで仕方なかった。

・蓮實のジジイは『(警察のアフレックは)必要だから彼を据えたという印象があります。そこが唯一弱いと思いました。絶対にこいつを捕まえてやろうという意識が、彼には全くないような感じがする。必死で逃げている様子もない』などと述べている。この点は気にならなかった。むしろアフレック、いいダシ出しているなぁと好意的に捉えた。何が気に食わないのだろうか。頭のいい人の不満ポイントはよく分からん。

・だがな、蓮實のジジイ。女優が素晴らしいってのは大いに同意する。メイン女性は二人ともマジで良かった。

・失われていくものへの感傷が本作にはあって、それがたまらなく心地よかった。