このレビューはネタバレを含みます
初鑑賞です。
テレビ放送を録画しました。
いい映画でした。
いろいろと考えさせられました。
そもそも私は芥川龍之介の「羅生門」のみが原作と誤解していたので、その点にまず驚きました。
①良かったところ
・映画の構成が面白い
とある殺人事件について、3つの証言が出てきます。
1人目は加害者である多襄丸。
2人目は被害者の妻であり、強姦被害にも遭った真砂。
最後は被害者である金沢。
しかしながら、いずれも食い違っており、真実がわかりません。
語る者によって話が変化するという構成が面白かったです。
・人間の醜さ
映画の終盤に、杣売りが真実を語ります。
明らかになるのは、多襄丸も真砂も金沢も、自身の見栄のために嘘をついたということです。
嫌な結末です。
また、杣売りの話を聴いていた下人は、赤子の服を剥ぎ取ります。
このように人間の醜さや情けなさが凝縮されていました。
・でも、希望もある
杣売りは赤子を育てる決意を固めます。そして、赤子を大事そうに抱いて行き、映画は終わります。
人間の嫌な部分を見せつけられた後なので、杣売りの優しさがより沁みます。
人間には負の面がたくさんありますが、それだけではないのですよね。
一筋の希望を感じました。
ただ、私も旅法師と同じように、当初は杣売りを疑ってしまったのも事実です。疑い深くなっていることを自覚させられました。
・三船敏郎さん演じる多襄丸が怖い
狂気を感じました。
目つきや話し方など全てが怖かったです。
三船敏郎さんご出演の映画を観るのは本作が初めてです。
凄まじかったです。
・情けない戦い
杣売りの語りにより明らかになる多襄丸と金沢の一騎討ちが、情けなくて印象的でした。
互いに恐怖に震えながら戦う様が生々しかったです。
②まとめ
いい映画でした。
観て良かったです。