もちお

羅生門のもちおのネタバレレビュー・内容・結末

羅生門(1950年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

 初鑑賞です。
 テレビ放送を録画しました。

 いい映画でした。
 いろいろと考えさせられました。

 そもそも私は芥川龍之介の「羅生門」のみが原作と誤解していたので、その点にまず驚きました。

①良かったところ
・映画の構成が面白い
 とある殺人事件について、3つの証言が出てきます。
 1人目は加害者である多襄丸。
 2人目は被害者の妻であり、強姦被害にも遭った真砂。
 最後は被害者である金沢。
 しかしながら、いずれも食い違っており、真実がわかりません。
 語る者によって話が変化するという構成が面白かったです。

・人間の醜さ
 映画の終盤に、杣売りが真実を語ります。
 明らかになるのは、多襄丸も真砂も金沢も、自身の見栄のために嘘をついたということです。
 嫌な結末です。
 また、杣売りの話を聴いていた下人は、赤子の服を剥ぎ取ります。
 このように人間の醜さや情けなさが凝縮されていました。

・でも、希望もある
 杣売りは赤子を育てる決意を固めます。そして、赤子を大事そうに抱いて行き、映画は終わります。
 人間の嫌な部分を見せつけられた後なので、杣売りの優しさがより沁みます。
 人間には負の面がたくさんありますが、それだけではないのですよね。
 一筋の希望を感じました。
 ただ、私も旅法師と同じように、当初は杣売りを疑ってしまったのも事実です。疑い深くなっていることを自覚させられました。

・三船敏郎さん演じる多襄丸が怖い
 狂気を感じました。
 目つきや話し方など全てが怖かったです。
 三船敏郎さんご出演の映画を観るのは本作が初めてです。
 凄まじかったです。
 
・情けない戦い
 杣売りの語りにより明らかになる多襄丸と金沢の一騎討ちが、情けなくて印象的でした。
 互いに恐怖に震えながら戦う様が生々しかったです。

②まとめ
 いい映画でした。
 観て良かったです。
もちお

もちお