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羅生門のねるねるのレビュー・感想・評価

羅生門(1950年製作の映画)
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学生時に読んだ『羅生門』の記憶と違って、あれ?と思ったが、原作は同じ芥川龍之介の『藪の中』だった。下人が赤ん坊の着物を盗むくだりは『羅生門』を思わせた。

黒澤監督は長回しの人だった。カメラアングルは変わるがワンシーンが長い。
映画ながら舞台劇のような印象。芝居がかっていると感じた役者の演技もそう思えば納得、といえるか。若い三船敏郎の躍動感には引きつけられるものがあった。

音には時代を感じる。いっそ無音で、息づかいや草を踏む足音だけの方が緊張感が伝わったのでは、と思うのは現代の感覚なのかな。
ラヴェルのボレロに似た曲あり。『真砂の証言の場面のボレロ』という曲名で、黒澤監督が「ボレロみたいな音楽で」と注文したエピソードが面白い。

伝説級の名作なのだろうが、なんだか微妙だった。それこそ『藪の中』に分け入った気分。
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